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HSP、エンパス5人に1人ってホント?

HSPとエンパスは、本当に5人に1人なのか、また5人に1人とはどういう意味でしょうか。

HSPは5人に1人の本当の意味

HSPが5人に1人というのは、世間で広まっている情報ですが、これはどういう意味でしょうか?

多分多くのかたが誤解されていると思いますが、5人に1人がHSPであとの4人は非HSPという考えかたは、ちょっと正確ではありません。

まずHSP、ハイリー・センシィティブ・パーソンというのは、心理学的には、繊細な人というわけではなくて、環境感受性の高い人、または感覚処理感受性の高い人のことです。

この感受性というのは、人間なら誰でも多かれ少なかれ持っています。

発達心理学を専門とする心理学者の飯村周平先生やイギリスの発達心理学者、マイケル・プルース博士らの研究によると、感覚処理感受性のばらつき、また環境感受性のばらつきは、正規分布しています。

正規分布とは、図のようなグラフです。

感受性の高さとHSPの割合

つまり、ザックリいうと世の中の15〜20%の人が感覚処理感受性の高い人、60〜70%が平均的な感受性の人、残り15〜20%が感受性の低い人というような意味です。

HSPが5人に1人、つまり20%というのは、こういう意味です。

なお、マイケル・プルース博士らの研究では環境感受性の分布について、30%の人が環境感受性の高い人、40%が平均的な感受性の人、30%が感受性の低い人と言っています。

マイケル・プルース博士らの説によると、HSPは3人に1人ぐらいになって、結構多いということになります。

エンパスはどれぐらいの割合?

さて、次にエンパスについては、どうでしょうか?

実は、色々と大学の研究論文も見ているのですが、まだエンパスの割合を正確に調査した論文は見ていません。

ちなみにこれまた多くのかたが(私も含めて)誤解していると思いますが、エンパス研究の第一人者、ジュディス・オルロフ先生の本の帯には、大きな文字で「5人に1人 !?」と書いてあります。一応、クエスチョンマークは付いていますけど。

ジュディス・オルロフ先生の本

しかも翻訳者のかたが「エンパスは、5人に1人いるとも言われています」と書かれています。これ見ると、誰でもエッ、エンパスも5人に1人なの?と思ってしまいますよね。

しかし、本文をよく読むと、ジュディス・オルロフ先生は、一言もエンパスが5人に1人とは言われていません。

次のように言われています。

研究によると、極度に感受性の強い人は、人口全体の20パーセントほどになるという。しかし、その20パーセントのなかでも、感受性の度合いは人それぞれだ。(注1)

LAの人気精神科医が教える共感力が高すぎて疲れてしまうがなくなる本 ジュディス・オルロフ (著) P.20

この部分のタイトルは、元の本では「WHAT IS AN EMPATH?」だけなのですが、日本語訳ではご丁寧に『世界中の5人に1人存在する「エンパス」とは?』になっています。これまた誤解を招く一因になっているようです。

ちなみにこの(注1)を見てみると、ストーニーブルック大学の研究で「センシティブ?感情的?共感的ですか?それはあなたの遺伝子にあるかもしれない」というタイトルで、この論文の注釈を読んでみると、「特に高いレベルの意識と感情的反応がHSPとして特徴付けられる人間の基本的な特徴であるという証拠を提供します。」と書かれています。つまり、これってHSPについての研究なんですよね。エンパスそのものでは無いようです。

というわけで、エンパスが5人に1人というのは、ちょっと違うようです。

エンパスはHSPよりもっと少ない割合だと予想されますが、エンパスの本を書かれているスピリチュアル・ガイドのローズ・ローズトゥリーさんによるとアメリカでは約5%の人がエンパスだそうです。

ちなみにローズ・ローズトゥリーさんの『エンパシー』という本の日本語訳でもなぜか、原文には無い注釈(注:日本人の二十%はエンパス)と書かれています。翻訳者がジュディス・オルロフ先生の本の日本語訳を読んで、注釈を付けられたのかもしれません。

なお、ローズ・ローズトゥリーさんは来日時に、日本人のエンパスは、5%より多いかもしれない、と言われていたそうです。

さらにネット上で「What is the percentage of empaths?」で検索すると、海外サイトでは、約2%という意見が多かったです。

結論

というわけで、HSPは5人に1人、エンパスはさらに少なく、人口の数パーセントというのが今のところ正しい割合のようです。

Photo by Rosea Creates


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