Scratch!!②
この映画『Scratch』では、ビート・ジャグリングを発明したSteve Dee、LAのスクラッチ・チーム、The Bullet Proof Space Travelers、Mix Master MikeやQ BertのInvisible Skratch Piklz、Dj Babu、Rob Swift、Rock Raida、Dj Krushなどなど、名だたるターンテーブリスト達がスクラッチ についてインタビューを受けている。そこで、スクラッチの誕生から生い立ち、ビート・ジャグリング、スクラッチ・バトルなどの進化まで時間軸に沿ってプレイヤーの言葉で語られていくというとても丁寧な構成だ。その後半には、我らがSteinskiも出演している。彼は当時のAfrica BamBaataaとJazzy Jayのプレイを回想した
Jazzy JayはファンキーでDJをやるときの動きが素晴らしい。Bambaataaは周りを見渡し空気を読む達人だ。Bambaataaが昔のレコードを後ろからJazzyに差し出した。レコードをセットし前の(曲)が終わった瞬間、ズンズンズン〜聴いた途端思った「おい、待てよ、この曲」Shirley EllisのClapping Song Clapping だ。9歳のときに聴いたきりだ。気に入ってたけど、、、するとフロア中の誰もが踊り出した感動ものだったよ。Africa Bambaataaこそマスター・オブ・レコードだ。
Africa BambaataaとJazzy Jayのプレイが目に浮かぶようだ。できるなら自分もその場にいたかった、そう思わせてくれる良いインタビューだ。それにしても、Africa BambaataaとJazzy Jay(35万枚のレコード倉庫シーンも圧巻)恐るべし。彼らの子供ともいうべき世代が彼らの影響にを受けレコード・ディグに心血を注いだのも納得だ。
そんな世代の代表ともいえるDj Shadow(彼のスクラッチ・スキルも凄い)も登場する。のっけから中古レコード屋地下の広大なレコード倉庫でのインタビューだ。彼のレコードに対する偏執的な愛情がヒシヒシと伝わってくる。
また、Q Bartとのスクラッチ・セッション・シーンでは彼の凄さを語った。その後、Dj ShadowがDouble Dee & Steinskiの「Lesson 3」と自身が作った「Lesson 4」について語った。
2年ほどあとに聴いたと思う。文字通り初歩からのレッスン形式で順番に整理してあってまとまった仕上がりだった。参考にしてたトラックだったから「Lesson 4」を作ったんだ。すると遥か彼方でカット・ケミストも同じことをしてた。古いものをアレンジしたブレイクを初めて聴いた。レコードから作ったレコードに感動したよ。「求めてたものはこれだ!って驚喜した。
Double Dee & Steinski「Lesson 3」はレコードから作ったレコードだ。Dj Shadowはこの「Lesson 3」に影響を受け「Lesson 4」を作り、傑作アルバム『Endtroducing....』をリリースした。その後、Steinskiと共に「Lesson」をライヴで再現するツアーを行った(詳しくはこちらへ)。その模様は劇中でも触れられている。
この映画『Scratch』は、スクラッチという手法を紹介すると共に、ヒップ・ホップにおけるDJとはなにか?それを浮き彫りにしたリアル・ストーリーだ。昨年、DJ松永がDMC世界大会で優勝した今だからこそ改めて観るのもいいかもしれない。
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