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カセット・テープ考⑤

ひとくちにカセット・テープといっても、その性能や磁気特性によりいくつかの種類が存在する。今回は、その種類について調べてみた。


【TYPE I/ノーマル】

Type I はカセット・テープの登場したときから使われている基本的なテープ。磁性体として酸化鉄(Fe2O3=錆びた鉄)を使用。

LN(Low Noise)ランク、LH(Low-noise High-output)ランク、SLH(Super Low-noise High-output)ランクと性能が細分化され種類も多い。80年代初期にコバルトを添加し高域を向上したり2層コーティングで保磁力を高め音質向上させ、CD録音/ディジタル録音対応が可能になった。一般用、音楽用、高性能音楽用(中級ノーマル)、超高性能音楽用(高級ノーマル)が登場。90年代以降は低価格化やコスト・ダウンが目立ち、一般用と音楽用のみ販売となった。

TDKのAD、日立マクセルのUD・UDΙは数多くのデッキ・メーカーのリファレンス(基準)テープとして用いられている。

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【TYPE II/ハイポジション、クロム】

TypeⅡは、いわゆる「ハイポジ」と呼ばれ70年代初期に登場した。磁気体に二酸化クロム(CrO2)を使用したことから、クローム・ポジションと命名されたが、テープ・メーカーが磁性体をコバルト添加酸化鉄に変更したためハイポジションという名称に変化した。

二酸化クロムは、ノーマル・ポジションに使用されている酸化鉄よりもさらに磁気記録特性が向上したが、中低域の弱さや六価クロムの環境問題、デッキに使われた録音/再生磁気ヘッド用パーマロイヘッドがクロムに硬度で負けてしまい摩耗する等の問題が多かったため、コバルト添加酸化鉄へ移行。中低域の強化や低ヒス・ノイズ化、高域MOL(Maximum Output Level=実用最大出力レベル)が向上し80年代には音楽用テープの代名詞となった

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【TYPE III/フェリクローム】

TypeⅢは、ノーマル(中低域は強いが高域が弱い)とクローム(高域は伸びるが低域に弱い)を補完し合う形で登場したフェリクローム。下層に低域用の酸化鉄、上層に高域用の二酸化クロムを使用していたためにフェリクロムと呼ばれた。しかし、すぐメタルが登場したため廃れていった。

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【TYPE IV/メタルポジション】


Type IV は、酸化されていない鉄合金磁性体を使用したテープ。78年、最初のメタルテープとして米国3M社から「Metafine」として発売された。

磁気性能としては、それまでにあった高性能ノーマルやクローム(ハイポジション)を凌駕し、最大残留磁束密度がほぼ2倍、保磁力もノーマルの約3倍、クロームの約1.5倍になり、結果として全帯域での録音レベルが高く、かつてのオープンリールテープに迫るダイナミック・レンジを持つと言われた。このテープの登場をもって、カセット・テープは本格的なHiFi音楽用としても完成の域に達したといえる。

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参考HP/懐かしのカセットテープ博物館/Wiki「コンパクトカセット」





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『ラッパ我リヤ/ULTRA HARD』カセットテープ発売中

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