マガジンのカバー画像

新井由木子【思いつき書店】

104
「思いついたことはやってみる」と言うのは、とあるおしゃれカフェの中の小さな書店「ペレカスブック」店主であり、イラストレーターでもある新井由木子さんです。世界文化社deliciou… もっと読む
運営しているクリエイター

#食

恐怖! 語りかけるモノ/新井由木子

 人でないものが語りかけるということが、世の中には、ほんとうにあるものです。  猫が話す…

我が家の大声ダイヤモンド/新井由木子

わたし「なんで女は痛風にならないのかねえ!」 父「なるらしいよ、女も。閉経すると」 母「え…

路上にて(かなしみのマグロ)/新井由木子

 路上にて。人々はいつもどこかへ向かう途中です。夢が達成される目的地こそが楽園だと思って…

口をきく猫/新井由木子

 猫が「ママ」と言えるようになりました。  わたしの家に住む2匹の猫の、若いほうの雌猫ナ…

新井由木子【思いつき書店】vol.019 勘違いの世界の巻

「今年も終わるね」  わたしの娘は幼いころ、この言葉を聞いて12月31日でこの世は終わるのだ…

新井由木子【思いつき書店】vol.018 島のクリスマスとおばさんの絶叫の巻

 わたしは昭和40年代の生まれです。幼少時の写真は全てセピア色。十年ひと昔と言いますが、ひ…

新井由木子【思いつき書店】vol.017 湯けむり二つ目の頭事件の巻

 銭湯って楽しい。  今は昔ながらの銭湯よりスーパー銭湯が主流になりましたね。わたしの住んでいる草加にもいくつかスーパー銭湯がありますが、かつてその中のひとつによく娘を連れて行っていました。  そこはウチから自転車で行けば身体もポカポカと温かいまま帰って来られるくらい近い、『松湯』の愛称で地元民に愛される獨協大学前駅近くの『スーパー銭湯・湯屋処まつばら』。ほぼ銭湯のようなお値段で入れるのに、ジェットバスもサウナも露天風呂もついています。わたしと幼かった娘のつつましい暮らしの、

新井由木子【思いつき書店】vol.016 海を越えてきた芋たちの巻

 今年もまた、母の丹精した畑からアメリカ芋が送られてきました。  これは薩摩芋の一種で品…

新井由木子【思いつき書店】vol.014 食べ歩けなかったものの巻

 ペレカスブックの閉店作業を終えて、その帰り道のことです。  自転車で走っていると、うら…

新井由木子【思いつき書店】vol.013 謎の種の巻

 わたしの生まれ故郷式根島を含む伊豆諸島には、明日葉という美味しい野草が生えています。 …

新井由木子【思いつき書店】vol.011 イボで失神の巻

 皆さんは失神というものをしたことがありますか? わたしは3度、あります。  1度目は前…

新井由木子【思いつき書店】vol.009 知られている草加せんべいの巻

 わたし、貯めたり借りたりごまかしたりしてマネーを作り、どうにかこうにか娘を大学にやって…

新井由木子【思いつき書店】vol.008 神様を食べた話(下)

 これは、正気を無くさねば食べられない。自ら持参した100円缶酎ハイをあおるスピードが上が…

新井由木子【思いつき書店】vol.007 神様を食べた話(上)

 それが生きているうちに食べさせたいから本日集合と、急遽ONU氏から連絡が入りました。  本屋を閉めてから待ち合わせ場所の公園に向かうと、薄暗がりの中に、高度技術職の立派な勤め人にはとても見えない、どこか深い森で通貨を介さない食べ物で生活を賄っていそうなONU氏が、小ぶりのリュックサックを背負ってニコニコと待っていました。  ONU氏の名誉のために言っておくと、氏がわたしの目にそんな風に映るのは、彼は家族キャンプが趣味で、顔が真っ黒に日焼けしていることだけでなく、高度技術職