雨の日

私はいつも通学の際、家に帰るため自転車に乗るが、今日は雨。家の方に向かうバスはすでに終わっていて、一時間ほどかかる道のりを雨の中歩いて帰ることになった。親を呼ぶという選択肢もあるにはあったのだが、呼んでもすぐには来られないだろうし、何となく気が引けた。

傘は差しても濡れるような横殴りの雨で、正直あまり歩きたくはなくて早く帰ってシャワーでも浴びたいと思っていたのだが、やはり普通に歩いても一時間弱はかかる道程はなかなか私を帰らせてくれなかった。傘を差し雨の中であればさらに時間がかかり、なかなかに気分としては憂鬱だった。

そして雨宿りをするように、天井で覆われた商店街の道を歩いていたら、突然自分の名前が呼び止められた。振り返ってみるとそこにいたのは中学時代の友人だった。彼はちょうど仕事中だったようだが、どうやら暇らしく近くのスーパーに水を汲みに行く途中だった。うれしい再会ではあったのだが、早く帰りたく、気分も落ち込んでいる私である。どうしようかと考えていると、友達は遠慮なく「ちょっとついてきてよ」と言い、私は来た道を少々引き返すことになった。

彼は中学時代、同じ部活動に入っていて顔を合わせればよく話す間柄だった。男子の中では結構やんちゃもので学級ヒエラルキーの上にいたような気がするが、あまりよく覚えていない。しかし、私はからかわれることが多く、反発することも多かったが、決して不快になるような関係ではなく、むしろそんな馬鹿みたいな掛け合いを楽しんでいた。

久々に会ってどんなことを話そうかと考えていたけれど、そんな考えは杞憂だった。彼は中学時代と同様に私のことを愚弄し、それに対して私も罵詈雑言で返すという数年たっても何ら変わりない掛け合いがあったからだ。その最中で私は濡れて落ち込んでいたことなど、どうでもよくなり気持ちは晴れ晴れとしていた。彼と別れ、商店街を出た時、相変わらず雨は土降りだったが、私はまるで違った心境で歩き出す。

「雨に歩けば虹が見つかる。」そんなことを思った。

3月27日

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