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100字物語「少年のさがしもの」

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毎回、100字でショート・ショート風ストーリーを連載していきます。100話完結をめざし、物語をつなげていきます。テーマは、少年のさがしもの。何が見つかるかは、お楽しみに。
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#みんなでつくる冬アルバム

100字物語「少年のさがしもの」#第18話

少年は象徴を探していた。路線バスで帰る夜の住宅街。競うように明滅するイルミネーションの庭は、ジェリービーンズの色彩。バス停で猫が待っていた。きらめく光を背にモンローウォークを披露する。エレキが欲しい。 (to be continued) 毎回、ぴったり100字で1枚のフォトジェニックなショート・ショート風ストーリーを連載。100話完結をめざし、物語をつなげていきます。テーマは、少年のさがしもの。何がみつかるかは、お楽しみに。

100字物語「少年のさがしもの」#第19話

少年は機会を探していた。冬の朝。雑木林の小道。落葉が層をなす南の斜面に陽が降る。池の端で釣り人が白煙をくゆらす。カモが水面の波紋を引きずる。猫が獲物を狙っている。竿がしなった。肢体をひねらせ鱗が光る。 (to be continued) 毎回、ぴったり100字で1枚のフォトジェニックなショート・ショート風ストーリーを連載。100話完結をめざし、物語をつなげていきます。テーマは、少年のさがしもの。何がみつかるかは、お楽しみに。

100字物語「少年のさがしもの」#第22話

少年は余白を探していた。冬枯れの林。葉を落としたスケルトンの樹々。枝が無尽に重なり緻密な細密画を空に描く。猫が積もった枯れ葉にダイブする。初雪が線描の隙間を縫って、パラシュートのごとく風に舞い降りる。 (to be continued) 毎回、ぴったり100字で1枚のフォトジェニックなショート・ショート風ストーリーを連載。100話完結をめざし、物語をつなげていきます。テーマは、少年のさがしもの。何がみつかるかは、お楽しみに。

100字物語「少年のさがしもの」#第23話

少年はベクトルを探していた。マンションの建設現場。薄曇りの空に、クレーンが鎌首をもたげ咆哮をあげる。列車の貨物基地の跡地。よく父と来た。今は鉄骨と足場しか見えない。猫がトタンの下を潜り偵察に出かけた。 (to be continued) 毎回、ぴったり100字で1枚のフォトジェニックなショート・ショート風ストーリーを連載。100話完結をめざし、物語をつなげていきます。テーマは、少年のさがしもの。何がみつかるかは、お楽しみに。

100字物語「少年のさがしもの」#第24話

少年はシナリオを探していた。小さなプラネタリウムのある坂の上の天文館。頭上に投影される星の地図。宇宙の旅を終えると、外は黄昏はじめていた。蒼き昴を見つけられるだろうか。隣の空地で猫が集会を開いていた。 (to be continued) 毎回、ぴったり100字で1枚のフォトジェニックなショート・ショート風ストーリーを連載。100話完結をめざし、物語をつなげていきます。テーマは、少年のさがしもの。何がみつかるかは、お楽しみに。

100字物語「少年のさがしもの」#第25話

少年は鏡を探していた。雪の朝。消えてしまった道のあちこちで光が乱反射する。枝は限界までしなって弾け、雪煙を巻き上げる。ランドセルの一団が投げ合う白銀の球は空中で割れ、家の軒下には猫の足跡が残っていた。 (to be continued) 毎回、ぴったり100字で1枚のフォトジェニックなショート・ショート風ストーリーを連載。100話完結をめざし、物語をつなげていきます。テーマは、少年のさがしもの。何がみつかるかは、お楽しみに。