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100字物語「少年のさがしもの」

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毎回、100字でショート・ショート風ストーリーを連載していきます。100話完結をめざし、物語をつなげていきます。テーマは、少年のさがしもの。何が見つかるかは、お楽しみに。
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2021年2月の記事一覧

100字物語「少年のさがしもの」#第38話

少年は対話を探していた。教室が微熱を帯びる2月。期待と落胆の嵐が吹き荒れる日がやって来る。朝から甘い匂いに浸食される脳髄。恋愛は未知の領域。数学よりも理解不能。義理でもいいさ。猫まで女子に媚びを売る。 (to be continued) 毎回、ぴったり100字で1枚のフォトジェニックなショート・ショート風ストーリーを連載。100話完結をめざし、物語をつなげていきます。テーマは、少年のさがしもの。何がみつかるかは、お楽しみに。

100字物語「少年のさがしもの」#第39話

少年は触発を探していた。鎮守の森の遊歩道を駆け上がる。風はバイオリンの弓のよう。樹々の葉ずれを奏でる。コーダで繰り返す波の諧調。藪を抜けた崖の先でハーモニカを海に向かって吹く。猫がハイキーで伴奏する。 (to be continued) 毎回、ぴったり100字で1枚のフォトジェニックなショート・ショート風ストーリーを連載。100話完結をめざし、物語をつなげていきます。テーマは、少年のさがしもの。何がみつかるかは、お楽しみに。

100字物語「少年のさがしもの」#第40話

少年は日常を探していた。アーケードの続く商店街。シャッターの閉まった店がパッチワークで散らばる。青果店の隣のコロッケ屋で買い食いをする。生徒指導の巡回はないな。魚屋の大将が猫に煮干しを投げて寄こした。 (to be continued) 毎回、ぴったり100字で1枚のフォトジェニックなショート・ショート風ストーリーを連載。100話完結をめざし、物語をつなげていきます。テーマは、少年のさがしもの。何がみつかるかは、お楽しみに。

100字物語「少年のさがしもの」#第41話

少年は兆しを探していた。薄曇りの朝。雲の絶え間から銀波へと一条の光が降りて来る。海に臨む天満宮。梅紋の絵馬が、一陣の風にカタカタと連符のリズムを刻む。猫が鈴を鳴らす。手水舎に梅の花びらが浮かんでいた。 (to be continued) 毎回、ぴったり100字で1枚のフォトジェニックなショート・ショート風ストーリーを連載。100話完結をめざし、物語をつなげていきます。テーマは、少年のさがしもの。何がみつかるかは、お楽しみに。 #超ショートショート #超短編小説 #短編小