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100字物語「少年のさがしもの」

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毎回、100字でショート・ショート風ストーリーを連載していきます。100話完結をめざし、物語をつなげていきます。テーマは、少年のさがしもの。何が見つかるかは、お楽しみに。
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2021年1月の記事一覧

100字物語「少年のさがしもの」#第33話

少年は追憶を探していた。住む人のいなくなった蔦の絡まる御影石の洋館。いよいよ取り壊しが決まったと母が嘆いていた。石畳の坂道に夕陽が影を落とす。船が汽笛を鳴らして、港を出て行く。どこかで猫の鈴が鳴った。 (to be continued) 毎回、ぴったり100字で1枚のフォトジェニックなショート・ショート風ストーリーを連載。100話完結をめざし、物語をつなげていきます。テーマは、少年のさがしもの。何がみつかるかは、お楽しみに。

100字物語「少年のさがしもの」#第34話

少年はドラマを探していた。湖のキャンプ場。漆黒から紺青のグラデーションを描く天。雲が墨を流したように透け、星が動く。南の宙で天狼が目を光らせている。コッヘルでコーヒーを沸かした。猫が焚火の傍らで蹲る。 (to be continued) 毎回、ぴったり100字で1枚のフォトジェニックなショート・ショート風ストーリーを連載。100話完結をめざし、物語をつなげていきます。テーマは、少年のさがしもの。何がみつかるかは、お楽しみに。

100字物語「少年のさがしもの」#第35話

少年は挑戦を探していた。誰もいない冬の浜辺。白い雄叫びをあげてうねる波。すぐに消し去られる猫の足跡。サーファーがひとり灰白色の空を背に、砕け散る荒波と格闘している。潮騒のリフレインが応援歌を轟かせる。 (to be continued) 毎回、ぴったり100字で1枚のフォトジェニックなショート・ショート風ストーリーを連載。100話完結をめざし、物語をつなげていきます。テーマは、少年のさがしもの。何がみつかるかは、お楽しみに。

100字物語「少年のさがしもの」#第36話

少年は進路を探していた。港のドック。運河に架かる橋から貨物船の進水式を眺める。斧が綱を切ると、シャンパンボトルが船腹で砕け散った。ドックに海水が侵入する。デッキの上空で群れるカモメ。猫が毛を逆立てた。 (to be continued) 毎回、ぴったり100字で1枚のフォトジェニックなショート・ショート風ストーリーを連載。100話完結をめざし、物語をつなげていきます。テーマは、少年のさがしもの。何がみつかるかは、お楽しみに。

100字物語「少年のさがしもの」#第37話

少年は源を探していた。小川にかかるコンクリートの橋。錆の浮いた欄干。川面で光が跳ねて踊る。せせらぎは遠く、軽トラがタイヤを軋ませて通り過ぎた。見下ろした河原ではエノコログサの一群れと猫が格闘していた。 (to be continued) 毎回、ぴったり100字で1枚のフォトジェニックなショート・ショート風ストーリーを連載。100話完結をめざし、物語をつなげていきます。テーマは、少年のさがしもの。何がみつかるかは、お楽しみに。