大河ファンタジー小説『月獅』19 第2幕:第7章「もうひとつの卵」(1)
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第2幕「隠された島」第7章:「もうひとつの卵」(1)
「ソラ、引っ張っちゃだめー」
丸太小家にはにぎやかな叫び声が響き渡る。風が笑うように吹きすぎる。
ディアの阻止もむなしく、麻袋から小麦粉が散乱し床に白い山を築く。傍らで双子がきゃっきゃっと笑い声をたてて粉まみれになっている。二人は粉を手ですくっては撒き散らす。ふわりと浮いた粉がきらきらと光る。陽の光によるのではない。双子たちの躰がぼうっ