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新聞より ~戦争と画家

では、最後。2021,10,5 夕刊です。

③私のイチオシコレクション 松本竣介 「立てる像」

 最近の夕刊は曜日によってテーマがあり、火曜日はアート特集です。
神奈川県立近代美術館 葉山の主任学芸員西澤さんのイチオシです。

 今は、シベリア抑留体験を描いたシリーズで知られる香月泰男の特集展示に合わせて、戦争にまつわる様々な作家の作品を館蔵品から紹介しているそうです。

 松本竣介の「立てる像」
「強い孤独感を感じさせるが、この絵に勇気づけられるという人がいる」とのことですが、「不思議なあいまいな表情に、見る人は自分を投影しやすいのかもわかりません」と書いています。

 私はこの青年の、どことなく寂しい中にも凛とした強さを持つ表情に惹かれます。

 描かれたのは太平洋戦争中の1942年。松本は10代で聴覚を失い、戦地には行っていません。「そのことは作品の静けさと関係あるようだ」と学芸員の西澤さんは言います。36歳で亡くなっています。

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その下は澤田哲郎「シベリアの密葬」です。

 松本の後輩で、一緒に展覧会も開く親しい間柄だったそうです。
澤田は戦争も末期の1945年に応召。シベリアに抑留されています。
 

 戦地に赴く同世代の人たちを見送るほかなかった松本。出征した澤田。
画学生というと、戦没した画学生の作品を集め展示している長野県の無言館を思います。

 今日の夕刊の「惜別」には、戦争の時の自身の加害体験を語ってきた元兵士の方が載っていました。100歳を超え、老衰でなくなったそうです。

 沖縄では住民に残酷なことを強いた軍隊と違い、わずかな兵器で敵に立ち向かった。そのことを語るのであれば、その前に中国で行なった自分の加害体験を語らないわけにはいかなかったのだそうです。

 加害体験を泣きながら語っておられたそうです。語るのは苦しいことだったでしょう。

 誰も悪くはありません。

そうさせる「戦争」が悪いのだと思いました。

思いが飛びました。

記事の右側の「美術館情報」を見ながら、何の心配もなく出かけられる日を心待ちにしています。

のせでんアートラインより

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