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地方広告会社の”営業職”の普段の仕事について


今回も少し仕事の話をまとめてみました。

ふと、私が大学時代、就職活動をするときも、広告会社の仕事の人ってどんな仕事をしているかわからなかったからです。

横の繋がりはあまりないので、他競合がどのようにしているかは分かりませんが、私の普段の仕事について整理しまとめてみました。


<職種について>

 私は学生の頃、正直、「広告の人=みんなクリエイター」的なイメージがありました。笑

ですが、実際に入社してみると何種類かの職種に分かれていてそれは誤解でした。ましてや今僕が入社してから配属されている営業職の仕事は、クリエイティブな要素はあるけれどもクリエイターではありません。


広告会社の職種は主に以下のようなカテゴリーに分かれます。


 ・クリエイティブ系の職

  ・・・これが、一般的に世の中の人がイメージされる職種です。詳細は分かれますが、CMプランナー、プランナー、コピーライター、アートディレクター、クリエイティブディレクター、ストラテジックプランナー、ビジネス開発プロデューサーなどなど。細分化するともっと役職はありますが、デザインやコピーの開発をできるだけがクリエイティブ職では実はないのです。都心の方では役職が専門性ごとに細分化されていますが、地方ではそれぞれ専門分野はあるものの、ある程度1人の人が専門領域を超えて企画書を書いたり、アートディレクションをしたり、なんでもしなければいけません。それは、そもそもの人が少なかったり、そこまで専門領域だけをやっていれば良いような案件が継続的になく手持ちぶさたにもなってしまい生産性が悪くなってしまうからです。


・メディア職

  ・・・主にテレビ局やその他媒体社と対峙して、営業から受けた発注をもとに各媒体社の営業担当と調整して媒体を買い付ける仕事になります。地方などによっては、営業が全てこの部分も担い、直接交渉することもあります。


 ・営業職

  ・・・これが、私が今所属している仕事です。主にクライアントと対峙し、案件や要望に応じて、クリエイティブ職の人やメディア職の人、その他外部の協力会社等へ案件ごとに発注したりする”コーディネート”を担う役目になります。クライアントの情報を一番持っており、案件に応じたチームスタッフィングをしなければいけませんし、クライアントと制作・メディアの間に立った調整を求められます。最前線で自分のしたいように仕事を作れる楽しさがある一方で、クライアントと制作側の双方へ気を向けなければいけず、コミュニケーションスキルも重要でストレスもかかる仕事です。



<営業職の普段の仕事>

以上を踏まえた上で、業務の”コーディネート”を担う、営業職の普段の仕事の詳細について以下挙げてみました。


 1。打ち合わせの設定調整

   まず始めに、基本となるのは打ち合わせの設定と調整です。

   電話やメールなどでクライアントの担当者との打ち合わせの調整を行ったりして都度進行の管理を行います。

   クライアント担当者と向き合って調整し、業務を進行していくのが基本的な仕事になるので、窓口の方と適度にコミュニケーションを取って良好な関係を築き、情報を引き出すことなどはとても大切になってきます。


2。企画のセールス&企画の立案

 次に、企画のセールスや立案を行います。テレビやラジオ、新聞、雑誌、ネットなど、媒体各社からもらう単発の企画などをクライアントのメリットなどに合わせて文字通り”代理”でセールスしたり、特定の商品の認知や企業のブランド向上など、クライアントの課題がまずあり、予算に応じて課題を解決するような最適な施策を様々なメディアの中からピックアップしてトータルで企画を立案&提案するケースがあります。通常は後者の方が業務としては多いため、いかにクライアントの担当者から情報を聞き出して課題を発見し、課題解決のための施策を練って提案できるかが業務受注や新規開拓には大切になってきます。


 3。撮影や収録などの調整&立ち会い

   テレビのパブリシティ業務が発生すると収録などが発生しますし、CM、チラシなどの制作業務などを受注すると、撮影などが発生します。

収録ではテレビ局の営業担当や制作スタッフとクラインとの間に入って取材先の選定や内容を調整し、収録時に立ち合います。

収録時はスムーズに撮影が進むように主に段取りを調整したり、変な映り込みなどないか都度チェックしたり、一般のお客さんもいる店舗での取材も多いのでお客さんの誘導などを行ったりします。

CMやチラシの撮影などは、カメラマンや制作チームと調整しつつ、撮影の段取りなどを行います。

先述した通り、業務を”コーディネート”します。

 

4。制作物の修正対応などのやりとり

  (クライアント⇄デザイナー間など)

 TVCMや新聞・雑誌などのグラフィックを制作する際には、クライアントからテーマや伝えたいことを聞き、それを踏まえてデザイナーなどにイメージを共有して打ち合わせやメール・電話などを通して制作を行います。

細かい修正の対応など、クライアントとデザイナーで何回かいったりきたりした後、OK(校了)となり最終の成果物が完成になります。

そのようなやり取りの際にも営業が間に入って取りまとめを行います。

その際には、ただ言われたことをそのまま横流しにするのではなく、一旦自分の中で吸収し、クライアントの要望が趣旨とずれていたりした場合にはデザイナーへ修正を戻す前にしっかりと意図を整理してから戻すなど「ひと手間」加えることを意識すると”こいつは考えてる営業だ”と、クライアントやデザイナーからもより信頼されやすくなります。


5。事務処理(経費精算、受発注管理、請求書発酵作業など)

 そして、意外に時間を割かれる事務処理も営業の仕事です。出張や飲み会の領収書の経費生産や、クライアントから受注や外部のデザイナーなどへの発注作業、そして請求書の発酵作業などがあります。同時進行で複数案件が進んでいたり、1案件で複数の外部機関へ発注していることが多いので、結構時間がかかってしまいます。朝方早くきて作業したり、夕方以降落ち着いてからまとめて作業をするのがよくあるパターンです。

その他、諸々の社内での申請書の記入&提出や、タレント契約や楽曲など著作権等が絡むものの契約のやり取り等も業務に含まれるので大変です。


6。その他資料作成(見積作成、スケジュール作成、パブリシティ原稿作成など)

 事務作業意外にも、ワード・エクセル・パワポを全て駆使して資料作成をします。基本的な見積の作成や制作物の進行スケジュール作成、TVで商品告知をするパブリシティの原稿制作(30秒〜120秒)なども営業が主に作成します。他にもイベントの進行台本や実施運営マニュアル、実施報告書といった関連資料もイベント会社なども制作しますが、営業もひと通り理解し、ある程度作成できるようになっておかないといけません。

自分で作成できるようにならなければ、発注先にも対等に指示したりできないからです。


以上、外での営業だけでなく、社内部での調整や資料作成スキルなど幅広い領域を行うのが営業の仕事です。

そして、担当する業界のクライアントも様々なため、色々な知識や常識も勉強しておくことが求められるのです。

極論、担当企業の命運を握っているのも営業です。

どのように舵を取っていくかは営業次第だからです。


上記に色々と書いてしまいましたけれども、結局のところ、

営業で一番大事になってくるのは、

「お金とスケジュールの管理」です。


まずこれさえしっかり抑えておけば最低限問題ありません。

営業職は”売上”を上げる(つくる)ことが最大の使命になります。

ここは、他の業界の営業職とも同じだと思います。

利益が出るような見積額の提示や交渉、コスト発注額の調整などといったお金をしっかり管理して、できるだけ利益が出るように調整することと、予定通りにスケジュールを管理して進行・調整することが求められます。

テレビのCMや新聞の広告などの媒体はマージン手数料が利益となるため利益率はある程度決められていますが、その他製作費などに具体的な単価設定がないため、クライアントを納得させるような見積の作成や技術も営業にとって大切なスキルになってきます。

さらに加えて+αで、企画アイディアを考える力や、戦略を練って他競合を上回ることができるスキルがあれば社内的には重宝され、プランナーやビジネスプロデュースといったクリエイティブ系の部署へ異動し、専門的に力を発揮することが求められたりするケースもあります。


営業ですが、クリエイティブやビジネスの視点を普段の業務から意識しておくと、経営により近い視点で普段から考えるようになるので、社内でもマネジメント職や経営層などに出世する確率も高くなってくるので、営業と言えどもこのような視点は養っていて損はないです。


都心では、巨匠と言われるような、クリエイティブディレクターなどが”会社の顔”になるケースもあると思いますが、地方ではあまりそのような”巨匠”は内部には存在せず、腕のある人は独立したりしてしまうので。営業部隊が多くなり、営業が”会社の顔”としてクライアントや媒体社から見られることが多いです。


おまけ 〜その他ライフスタイルやスキルについて〜

 ・服装について

   広告会社で働く人の普段の服装も気になるところだと思います。

   クリエイティブ系の職の人は「ジーパンにTシャツ」なんてよくイメージされる格好の人がたくさんいます。なんならもっと派手な人もいっぱいいます笑

   でも営業は基本的には「スーツ」です。ただ、細かいルールなどはあまりないので、「ジャケパン」など自由に範囲内から崩れなければOKな感じです。


 ・出勤時間などについて

  働き方改革で是正されてきましたが、働き方も割と自由で、他の業界よりも裁量が与えられていると思います。何時から何時まで会社にいなければいけない、ということは特になく、仕事を問題なくこなしていればどんな働き方でもある程度容認されると思います。今は最低限スマホがあれば、電話とメールもできるし、会社にいなくても仕事を進めることもできなくありませんので。むしろ、「帰れるときは早く帰れ(笑)」的な風潮もあるので、上司が残っているから帰りづらい、なんてことはあまりないと思います。

 

・その他営業スキルについて

  その他で言うと、「食事会場の予約・手配」などもやらなければいけません。接待向けの個室から大人数での宴会、県外から来た人地元の料理でもてなす、などある程度お店を知っておかなくてはいけません。今はそこまで飲み会が多くはないので、お酒が苦手な方でも問題ありませんが、お酒が好きで普段から自分で色々回ってお店探したりするのが好きな方は尚良いと思います。送別会などは、変に広告会社っぽく!?少しとんちを利かせたプレゼント選びをしなければいけないようなこともたまにあります。笑


・同じ仕事がない故マニュアルも存在しない。働き方は人それぞれ。

  働き方にマニュアルがないのも特徴的です。なぜなら、普段同じ仕事があまりないからです。常に対応する仕事は、新しいものばかりで、過去の経験を活かしたりしつつ考えなければ都度対応しなければいけません。先輩方をみていても、一人一人働き方が全く異なっています。飽き性の私はその部分が大変面白いと感じています。なので、入社したときは、全ての先輩の働き方を見習うのではなく、「色々な人の働き方を見ながら自分に合うスタイルを身に付けていく」ことが大切だと言われたのが印象的です。

 

・不慮の事故やミスも必ず起きる。その時の迅速な対応や誠意さが大切。

  同じ仕事はほとんどなく、業務に関係している人も多いので、どんなに注意していても不慮の事故やミスが発生する時が多々あります。そんな時でも落ち込まずに冷静に判断し、ベストな対応を選択することが営業として大切です。対クライアント、対媒体社、対その他の方々にとってどんな選択をすれば一番ベストなのか。素早く、冷静に判断して対応することが必要で、この対応のスピード感は非常に重要です。防げたミスをしたときはもちろん上司から注意されることはありますが、不慮のミスなどは恥ずかしいことでは全くないので、隠さずにその後どのような対応をとるかの方が大事です。むしろ、このような緊急時の対応の差によって力量や経験の差が見えてくることもあります。


最後に

 色々書きましたが、細分化するとまだまだ、広告会社のなぜや、働くメリット・デメリットなどたくさんありますので都度まとめていきたいと思います。

 広告会社はメーカーなどと違って「売り物がありません」。

入社当初、この言葉がとても印象的でした。自分で企画を考えて、クライアントの要望に答えられるようにコーディネートしていかなくてはいけません。凄まじいスピード変化する時代に対応した企画を作っていかなくてはいけないので、同じ売り方をずっと続けていくことは通用しません。売り方に正解はなく、「常にオーダーメイドでコーディネート」していかなければなりません。

ここが醍醐味でもあります。

広告会社の営業は、クリエイティブ要素も必要だし、考える力も必要だし、コミュニケーションも必要です。そして、最前線で色々な情報を把握しながら会社を引っ張っていく。

普段、広告会社とは関係がない方々などは、このような営業の働き方が表にでる機会は少ないと思うので全くイメージされないと思います。

この投稿を踏まえて、業界に興味がある方などの役に少しでも立てれば幸いです。

私もこの投稿を通して、自分の今の仕事内容を改めて整理することができました。

投稿を読んでいただき、ありがとうございました。

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