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第58回ウェブ時代の雑誌について #ブックブックこんにちは

ブックブックこんにちは!

東京・神楽坂かもめブックスの柳下恭平と札幌・北18条Seesaw Booksの神輝哉、2人の書店店主が好きな本のことについて話すPodcast番組「ブックブックこんにちは」。このnoteは当番組ディレクターの山本リオが裏話をお伝えするマガジンです。

今回の編集は神さんとの二人三脚!

今回の音源編集、神さんがまずは整えて、最終調整を山本が担当、という二人三脚でお送りしています!

というのも、私も神さんも柳下さんもそれぞれ繁忙期で身動き取れなくなっちゃう時がある、そんなときに編集を代打できるようになっておいた方が、毎週欠かさずに配信できるのでは?という話題が上がったから。

先日札幌・ニセコに行っていたのは、編集に使っているAuditionというツールのレクチャーも目的のひとつでした。一緒に音を聴きながら、音量の調整の仕方、間の詰め方、ノイズの消し方などを細かく共有してきました。

ここで柳下さんに指摘されるまで自覚がなかったのですが、わたくし、音を聴かなくても波形を見るだけでタバコを吸う時のライターの「カチッ」という音を一発で見分けられるようになっていました。この番組、2人ともタバコを吸うので「カチッ」音が多いのです。また役に立たない特技を身につけてしまった。でもライターの音も味があるなと思っているので、適度に残して編集しております。「今タバコ吸ってるんだろうなぁ」なんて話している様子を想像しながら楽しんでいただいても嬉しいです!

札幌・ニセコ編集合宿での喫煙スペースでの2人

ウェブ時代の雑誌について

今週のテーマはおたよりから「ウェブ時代の雑誌」。いつもは一冊をご紹介していくことが多いですが、今回は切り口広めです!

神チョイス「昔の雑誌」「DRAW」

神さんは実際に古い雑誌のバックナンバーを手元に取りながらあの雑誌やこの雑誌の昭和頃の発売号をご紹介。

私も古い雑誌を読むの、とっても好きです。と言いつつ持っているわけではないので、図書館などで手に取って色々眺めたりしています。

少し前まで住んでいた街に「大宅壮一文庫」という私設図書館がありました。ここは雑誌専門の閉架式図書館で、入館料を支払って入ると、備え付けのパソコンで読みたい雑誌と号を調べ、紙に記入して、司書さんに提出して、持ってきていただくスタイル。

特に印象的だったのは、ananの創刊号。三島由紀夫が「女の色気 男の色気」というエッセイを寄せていて、「そもそも色気とは何であろうか。私は色気とは文化の蓄積の中にしかないものだと思う。」という一節にはグッときてしまいました。

三島由紀夫といえば小説のイメージが強かったので、なんとなく雑誌、それも女性向けのファッション誌にエッセイを寄せていたというギャップに驚いたものです。

他にも、データベースでたとえば好きなミュージシャンの名前で検索したときには、彼らがデビューして間もない頃に書いていたコラムやインタビューなどもわんさか出てくる。

それを読みたくて雑誌を手に取ると、周りの記事でさらにいろんな時代を感じられる。今では強すぎて使われなくなった表現などもバンバン出てきて、新鮮に感じました。みなさんもぜひ、おうちやご実家に残っている雑誌、図書館で辿った古い雑誌など紐解いてみてはいかがでしょう?

柳下チョイス「少年ジャンプ+」

柳下さんが選んだのはアプリでした。私が少年ジャンプ+をダウンロードして読み始めたのいつからだったかなぁと振り返ってみたら、おそらく2015年ごろ。前職でCINRA JOBというクリエイター向けの求人メディアで編集を担当していたときでした。ジャンプの編集者である村越さんに取材させていただくことになり、読み始めたのでした。

まさに当時の私はウェブメディアでの仕事にどっぷり。2010年代半ばくらいまでは紙のメディアとウェブでは大きく隔たりがあった気がします。ちょうどこの頃、まさに集英社の「少年ジャンプ+」や、講談社の「モアイ」が登場して、漫画雑誌がデジタルに力を入れ出したどころか、めちゃくちゃ読みやすい!UIもわかりやすい!と感激すると共に脅威にも思っていました。

最近の紙の雑誌が母体のメディアといえば、BRUTUS.jpのデザイン、特にトップページにある、平日毎日更新される特集「デイリーブルータス」の円を描くような動きは触っていても気持ちが良いし、CasaBRUTUSのウェブもあれだけの高解像度な画像の枚数があるのにサイトスピードが信じられないほど速い。(どちらもお仕事でご一緒したときに食い入るように見てしまいました)

紙の雑誌もウェブの雑誌も、それぞれの手触りがたまらないなぁ。両方好き!という気持ちを再確認する収録となりました。

そういえば本編で神さんも柳下さんも広告について語っていましたね。文脈に合わせて、某ウイスキーのCMパロディのブリッジを入れてみました。

CMといえば、沖縄で一番気に入っている行きつけのバーで教えてもらったCMソングがこちら。レイチャールズがサザンオールスターズの「いとしのエリー」をカバーした一曲です。

背景の泡盛の甕がいかにも沖縄らしいでしょう

こんな豪華なカバーをCMでできていたのも、そしてカセットで流通していたというのも、雑誌とは関係ないけれど時代を感じる広告だなぁと思ったので、思い出しついでに挙げてみました。

ブックブックを聴いていると、本を売るのが上手くなる?

そういえば先週末、山本が出店したイベント「ツドイ文庫」が無事に終了しました。

リスナーの方にもお越しいただき、お顔を見ながらお話ができてとっても嬉しかったです!そういえば公開収録などもこれまで札幌多めだったので、東京でブックブックをお知らせできるイベントは初だったかも。これからも色々企てていきたいです。

ディレクター山本は普段着が着物です

ところでツドイ文庫ではおすすめしたい本などを持って行ったのですが、ブックブックのディレクターをしつつも私は本業は本屋さんではないので、本を売るのが初めて。でも、ありがたいことにほぼ売り切れとなりました。

お一人お一人、おしゃべりしながらご案内していたら、ふと気づいたことがあります。あれ?もしかして、「ブックブックこんにちは」を聴いていると、本を薦めるのが上手になってるのでは......?

作品自体のことをネタバレしない範囲で面白さを伝えたり、作家さんのことを深く伝えたり、装丁の素晴らしさを伝えたり。

神さん、柳下さんが様々な角度から本を紹介する様子を毎週毎週3回ずつ(収録、編集、完成後の微調整)聴き直していたせいか、その「紹介の仕方」が自分の中にインストールされ始めている実感を抱きました。

幻のブックブックこんにちは1周年記念カセット

リスナーさんの中で「私も本の紹介するの上手くなった!」という方、もしいらっしゃったらぜひお便りでお聞かせください!(こう思ってるの私だけなのかな、他にもいるのかな、仲間が欲しいな、なんて思ってます)

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