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フランス生活いろいろ その2:斜視の治療、不景気、経済政策

おチビの左目は斜視気味で、矯正に通ったのだが改善しなかったため、専門医に診てもらうことにした。そして先日パリ16区の閑静な住宅街を目指して家を出たのだが、約束の時間よりも30分ぐらい早く着いてしまったので、隣の駅にある観光名所まで歩いてみた。小高い丘になっていて、そこから見下ろすエッフェル塔が圧巻なので、常に観光客で賑わっている。が、もちろんコロナ禍で観光客の姿はなく、所狭しと並ぶカフェやレストランも閉まったまま。まるで人類の90%が消滅してしまったかのような雰囲気にゾッとした。普段外に出ることは稀で、出ても大半は近所で用を済ます私にとって、はじめて自分の目で見たウィズ・コロナ・イン・パリの現状だった。外食産業に従事する人の多さを実感し、たとえ彼らにある程度の公的援助があるとしても、今年3月以来貧困層が急増し、食料支援団体を利用する人の数も激増しているという背景が理解できる気がした。そんな中で、ここ16区の高級住宅街やヌイィ・シュール・セーヌなどの超高級住宅街でのうのうと暮らし、以前と変わらず平民からすると目が飛び出るするような収入を得ている層も存在する。これでは暴動が起きても致し方ない。必ずと言っていいほどデモの際に起こる暴力や破壊行為など、来るべき有事に比べたらかわいいものかもしれない。
それでは富裕層にさらなる税金をかけるとどうなるか?外国へ逃げるだろう。不幸なことに、フランスに隣接する国のいくつかはタックスヘブンらしい。長男の小学校時代のクラスメートに、フランスで6番目にお金持ちの一族がいたが、スイスへ移住したと噂で聞いた。それなら金持ち税と移住税を同時に設定したらどうだろう?フランス憲法に反するとか何とか言い出すだろうというのは容易に想像がつく。だが今の時代、自由をモットーに掲げている場合ではない。世界的な傾向だが、多くの人が自由をはき違えている。一時期アメリカでマスクをしていない人が入店を断られ、逆ギレ・嫌がらせをするというケースが相次いでいた。もちろん彼らにはプライベート空間でマスクをしない自由は与えられている。ただひとたび公共の空間に出れば、一定の規則を守れる人だけが入店する自由を手にすることができるのだ。自由にはある程度の不自由が伴う。自分のしたいことをするのが自由ではないと国民に理解させるのも政治家の役目ではなかろうか?
さて、おチビの目の話に戻るが、専門医には「本人は苦にしていないようだが、成長すればするほど目立つようになる。遅かれ早かれ手術するのが望ましい」と言われた。眼球の横にある筋肉に働きかける手術らしい。目の印象は重要だから、今のうちにやっておいた方がいいと思い、夏休みに入るタイミングで手術してもらおうと予約を入れた。手術後3週間くらい目が真っ赤になると言われたので、そんな目で学校へは行きたくないだろうと考えた結果だが、多分本人は手術がどういうものなのかわかっていないようで、赤い目がかっこいいとか何とかアホなことを言っている。とにかく2週間後には長男が親知らずを一気に全部抜く、全身麻酔の手術を受ける。こんな不景気なのに医療費がかさんで、母ちゃんの苦労は続くのであった。

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