窓ガラスの向こうは 灰みたいな霧雨 しっとり濡れたふたり 長い沈黙はお互いを窺っている 温か…
あなたから滲み出る匂いを嗅ぎ やっと呼吸をすることができる 冷えたコンクリートに囲われて …
ずいぶん長いこと静かだった 道路の舗装工事をしても 気づかれることなく 死んだように眠って…
子供の頃から虚言癖 親からの期待の砲弾を 避けるのに必要な技術 未だに平気で嘘を吐く 嘘の中…
理想と乖離している現実 指先にも触れていない シャボン玉のような脆さを 壊さないようにする…
君に走り寄ろうとして 転んで思い切り擦り切った 泣いて湿り気で覆えば 傷の治りは早くて 綺麗…
集合的無意識 誰かが放った言葉に 自分が発しようとしていた言葉が重なって なんだかドキドキ…
目を覚ましたくないけれど意識はしっかり目覚めている 恐る恐る目を開ければ目ヤニがパリパリ…
青い鴎が羽ばたいて 次の時代の到来を伝える 海の向こうから荒い波が 押し寄せようとしている …
スマホの中であれこれ悩んでいる 電車は躯を運ぶ 降車駅を過ぎても躯は乗せられたまま 大人し…
わくわく わくわく わくわく もぞもぞ もぞもぞ もぞもぞ ゆらゆら ゆらゆら ゆらゆら うと…
塩むすび 味噌汁 糠漬け 梅干し 梅酒 よく働き よく笑う 梅酒 梅干し 糠漬け 味噌汁 塩むす…
女は役割に疲れ果て 横たわり目を瞑った 瞼の裏 いつか失くした鯨のオルゴールが 雲型のメロデ…
つま先ゆび先どこへ向いてる 意識しないとボールは レーンを外れてしまうよ いつもしっかり定…
鼻歌 小口切り 短冊切り フライ返しのリズム 野菜が汗を撒き散らし踊る 油が元気に雨あられ …
胸に火炎の種を宿して産まれてきた 赤子の時は泣いて火の粉を散らし 成長するにつれて自分で消…