「読まされてきた」ものを越えて|『Lilith』川野芽生(②/③)
第65回「現代歌人集会賞」受賞挨拶
『Lilith』で標記の賞を受けた川野は、受賞者の挨拶の場で「美しさ」について語った。歴史上数々の芸術が女性を美のアイコンとして取り扱ってきたこと、美しいものは鑑賞者に絶えず搾取されるものでありそれを若い女性として生きる中で強く感じてきたこと、自分の歌が「美しすぎる」のではないかと思ったこと、搾取されるものは人間のみならず自然も含まれること、美の価値観も根本的に差別的であり言葉の美しさを求めることのみがその暴力性から逃れうるものではない