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ゲーマーはなぜNFTを嫌うのか。

 日本のみならず、特に欧米諸国でとかく話題になるNFTゲームへのバッシング、拒否反応は枚挙にいとまがない。
 例えば2021年9月、SteamがNFTやクリプトの発行・取引を可能にするゲームの公開を禁止するガイドラインを制定したほか、EAやUbisoftのようなメジャーパブリッシャーがNFTを既存ゲームに導入しようとしたところ、プレーヤーをはじめ従業員からも大きな反発を受け、一時撤退を余儀なくされた。
ゲーマーたるもの冒険することが大好きなはずで、NFTのような既存のビジネスモデルをすべてぶっ壊すような革新的なテクノロジーの登場に胸を躍らせてもおかしくないはずなのに、、なぜだろう。。
 ここ半年ほど抱えてきた疑問について考察してみた。

ゲーマーは正義を好む。

 何だかんだ結局のところ、ゲーマーは自分を物語の主人公に投影して冒険し、敵を倒し、仲間とともに世界を救う。つまり「正義」が好きなのだ。
 だからこそ、改造やバグを突いた「チートプレイ」に対してはごく一部を除く大多数のプレーヤーが嫌悪感を抱く。
 この正義感が強いほど、NFTは単なる投機、金儲けの手段、すなわち「チート行為」と同等だと直感的に感じるに違いない。
 確かに既存ゲームに金儲けが目的の輩が大挙して押し寄せ、イナゴのようにコミュニティやゲームバランスを食い尽くす未来は容易に想像できる。
 だからこそ、既存ゲームへのNFT導入は安易に行うべきではなく、新規IPの創出あるいはシリーズ最新作としてブロックチェーンに特化したタイトルを開発することが不可欠と言えるだろう。

ゲームにNFTが導入される価値とは

 では既存ゲームにNFTが導入されることで何が起きるのか。ここが理解されることが大切である。
 代表的と思われる価値4点は下記の通り。

  1.  デジタル資産のトークン化によってゲーム内の価値がゲームの枠を超えて使われていく、すなわちコンポーザビリティが発揮される。

  2.  プレステのトロフィー的な個人のゲームに対する経験やスキルが可視化されることで、ゲーマーのためのコミュニティ・ギルド・DAO組成への近道になる。

  3. P2Eで生計を立てられる。

  4. DeFiと接続することでステーキングからの独自トークン入手など金融機能を発揮する。

 NFT、ブロックチェーンがゲーム業界にもたらすものは想像以上に大きい。短絡的な拒否感だけでこの劇的な変化をもたらす果実を逃しても良いのだろうか。

まとめ

 2022年になってSTEPNのようなM2Eが日本の一般層にも普及しつつあるほか、著しくクオリティが低いNFTゲーム(金融機能を備えたGameFi含)は少なくなってきている印象がある。個人的には2021年から明らかにクリプト領域を意識しはじめているスクエニあたりにNFTゲームの金字塔となるようなタイトルを開発してほしいと願っている。
 最後に、私の大好きな本の一節を紹介して本論を締めくくる。

 人が新しい技術に出会ったときの反応は、それがどんなものであれ、つぎの3つの段階を経る。
第1段階。こんなものはまやかしだ。こんな凄いことができるのなら、世界はひっくり返ってしまう。だから、これはインチキでペテンだ。悪質な詐欺かもしれない。誰かが、ひと儲けを企んでいるのだろう。引っかかったら、後で大変な目にあう。クワバラ、クワバラ。賢い人は、こんなものには手を出さない。
第2段階。ひょっとすると、何か大変なことが起きているのかもしれない。うまく対応しないと、後れをとる。気の早い連中はすでに走り出しているから、私もじっとしてはいられない。しかし、この得体の知れないものは、一体何なのだ?
第3段階。このすばらしい技術は世界を変えた。私が最初から考えていたとおりだ。
「ブロックチェーン革命 分散的自律型社会の出現」(野口由紀雄著)

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