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web3業界における保険の必要性

こんにちは。共同代表のTaishiです。

Korea Blockchain Weekに参加しました。タッカンマリで腹痛になったこと、開店初日のお店に入ったことが主なハイライトです。夏の終わりは季節的に苦手です。やっぱり夏っていいですよね。

今回はweb3における保険の必要性について簡単に個人的な考えを記載しました。

それでは、今日のお品書きです。


web3領域における保険サービスって何があるの?

web3領域における保険サービスのうち、しばしば話題に上がるのはDeFi保険です。DeFi保険とは、DeFiサービスの一環として保険提供を行っています。

例えば、Nexus mutual等が有名です。概要は凡そこのようなものになります。

  • スマートコントラクトの脆弱性によるハッキング補填する

  • 保険ルールはプロジェクト次第だが、オフチェーンによる審査が多数派である

  • オンチェーンでのpayout判定の場合、トークンの価格で判断するケースがある

  • Peer to Poolのため、保険購入者に加えUnderwriterもuserである

  • Nexus mutualが著名ではあるが、本市場に勝者不在であり、改善の余地が多い業界である

  • プレミアム算出にアクチュアリーモデルが適用されていないように見受けられる(データ不足?)

カバレッジはプロジェクト次第ですが、一部CEXやステーブルコインのdepegをカバーしているプレイヤーも存在します。

web3保険における課題

まず、そもそも自ら好んで保険料を払いたい人って存在しないですよね。

保険料とはリスクエクスポージャーを適切に管理するためにやむなく支払うものです。ということでプロジェクト側は保険は最低限で良いと考えていまず。

また、既存のDeFi保険はあくまでユーザーの資産保護に焦点を当てており、プロジェクト向けではないというのも課題かなと。本来プロジェクトが被る損失を一定程度カバーしたいが故に保険でヘッジするのであって、DeFiで運用を行う一般ユーザーはその時点でTradFiで運用するユーザーよりもリスク許容度は大幅に高いと考えられます。故に保険をかけてまでリスク管理をしたいユーザー層にはリスクリターンを非常に魅力的にする必要があるのではないでしょうか?それこそTradFiの数倍以上とか。

Bug bountyを行う場合でも多額の支出が必要であるうえ、Peer to Poolの場合巨額のカバレッジも困難です。一方、機関投資家等リスク管理を丁寧に行うプレイヤーは巨額の資産をカバーする必要があるため、Insurance Poolにも相当の規模を求めます。Insurance Poolを大きくするためにUnderwriterへfarming報酬を提供する手段も取り得るが、持続可能性には疑問があります。

Value at Risk(以下、「VaR」)の算出が困難

VaRとは、今現在保有する資産を、将来にわたって一定期間保有(保有期間)し続けた場合リスクファクターにさらされることで、一定の期間において、一定の信頼区間のもと、市場が平常の状況にある場合に想定される想定最大損失額のことです。

一般に保険料の算出には十分な類似データが必要になりますが業界の新しさ故にデータが十分に存在しない点も課題です。

保険料の考え方は一般に、将来予想されるであろう損失額である期待損失コンポーネントに、保険を引き受けることに対して収受すべきリターンである対潜在的逸失利益コンポーネントで構成されますのでこれらの値を何らかの形式で算出する必要があります。難解な用語を使ってしまったので以下簡単な定義です。

期待損失コンポーネント:保険引受による想定損失額。デフォルト率や債権回収率データ等を用いて算出。

対潜在的逸失利益コンポーネント:保険引受によりクレジットリスクに晒されるであろう追加的資本及び当該追加的資本金額に必要な運用リターンを算出。

これらのデータを使いやすい形式で保存しておくことも簡単ではありませんので、適切な保険料の算出は鋭意検討していきます。

web2プレイヤーによるweb3領域へのカバレッジ提供

web2プレイヤーによるweb3領域へのカバレッジ提供としてはやはりLloyd’s Groupが進んでいる模様です。

Lloyd’sは暗号資産カストディアンへの保険提供を行っています。Lloyd'sのグローバルネットワークを活かし、キャプティブ設立のノウハウ(coinbaseは自社キャプティブ検討中)等を提供しているらしいです。Coinbase、BitGo、Kingdom Trust、Anchorage、Metaco辺りが利用しているとかしていないとか。

Lloyd's以外にもありはしますが、実態を伴ったサービス提供が出来ているのは私の観測範囲ではLloyd'sでしたので、ここではLloyd'sのみの紹介に留めます。実態を伴ったexecutionがすべてです。はい。

web3領域への保険提供は今後どうなっていくのか

web3領域への保険は業界が発展していくにつれて増々需要が増加していくと考えています。

確かにweb3の原則では資産管理もすべて自己責任ですが、これ故にハッキングや詐欺が横行し、万人の万人に対する闘争状態となっているわけですよね。このような闘争状態を避けたいが故に人類は為政者と社会契約を結んだわけで。

社会契約を結ぶか否かの選択をする自由があればweb3的と言えるのではないでしょうか?知らんけど。

最後に

web3領域へのカバレッジを提供することにより、ユーザーは安心して参入可能となると同時に、プロジェクトも保険提供を受けることでより革新的なものが生まれる土壌を醸成することが可能となります。業界の発展には攻めのソリューションのみならず、守りのソリューションが不可欠ですし、その中でも保険は常に重要な役割を果たします。

DeFi領域の保険はDeFi市場に存在していましたが、web3領域のプレイヤー全般をカバーする保険は現状存在しておりません。GameFiやLayer1&2といったDeFi保険ではカバーしきれていない領域に加え、DeFi保険プレイヤーが進出出来ていなかった領域を開拓することが可能となるのではないでしょうか。


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