5%ポイント還元策の予算は3000億円で本当に足りるのか

国の2019年度当初予算(一般会計の歳出総額)は約101兆円となり、過去最大であった2018年度の約97兆円(当初予算)を4兆円も上回ることになりました。4兆円も膨らむ大きな理由は、軽減税率の導入を含む増税対策です。

この増税対策のうち、最も注目が集まっているのが、中小・小規模の小売店でキャッシュレス決済により買い物をした消費者に最大5%(個別店舗は5%、フランチャイズチェーン加盟店は2%)分のポイントを還元するという政策です。この政策は2019年10月から9か月間実施され、その財源として、経産省は約3000億円(厳密には2798億円)を2019年度予算に計上していますが、その範囲のコストで済むのか、筆者は疑念を持っています。

理由は2つあります。第1の理由は、以下の記事の通り、 ヤフーとソフトバンクが出資したスマホ決済のサービス会社(PayPay)が行っていた「100億円還元キャンペーン」において、「すべての人に購入額の2割が戻るため、利用が殺到。実施期間は4カ月と計画していたが、10日間で予算を使い果たした」という事例があるためです。増税対策のポイント還元は最大5%ですが、9か月間という期間で、それでもかなりの消費者が反応する可能性があります。

第2の理由は、以下の記事の通り、ファミマやミニストップ等が続々とスマホを使った決済サービスに参入を開始・予定しているためです。例えば、「ミニストップは2019年10月の消費増税にあわせて政府が導入するキャッシュレス決済へのポイント還元策に全店で参加」するとともに、「ミニストップは国内で約2200店を展開し、このうち直営は約1割の190店」としています。

現在の家計最終消費支出は約300兆円もあり、粗々の計算ですが、そのうち中小・小規模の小売店での購買額が(少なく見積もって)仮に50兆円として、その1%分でも0.5兆円であり、2019年度予算の計上額とは規模が異なるように思います。

なお、上記の資料には記載がなく、現時点で真偽不明ですが、朝日テレビ(2018年12月27日)は「政府は消費増税対策としてキャッシュレス決済した場合、ポイント還元する方針で約2800億円の予算を計上していますが、そのうち3割がポイントを還元するためのシステムの開発などに使われることが分かりました」という報道もしています。

年明けの2019年1月―3月の国会では、2019年度予算案の審議がされることになりますが、このポイント還元策の予算の妥当性についても、しっかり議論をしてもらいたいと思います。

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