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政府支出乗数は1未満か

以下の記事は、政府が12月5日午後に閣議決定した「安心と成長の未来を拓く総合経済対策 」(以下「対策文書」という)の概要を説明しています。

記事にも説明があるとおり、「財政支出のうち、国費は7.6兆円」ですが、対策文書の36ページには以下の記載があります。

実質GDP(需要)押上げ効果を現時点で試算すれば、概ね 1.4%程度と見込まれる。また、これに含まれない成長の基盤となるインフラの構築等により促進される国内投資額は、現在の名目GDP比で、概ね 0.7%程度と見込まれる。

すなわち、経済対策の効果を試算した内閣府は、国費7.6兆円を含む対策の実質GDP押上げ効果は概ね1.4%と見積もっているようです。しかしながら、現在のGDPは約560兆円です。7.6兆円の政府支出増加(=国費の増加)は、この分だけでGDPを約1.4%(=7.6兆円÷560兆円)押し上げる効果があるはずです。

今回の経済対策では国費7.6兆円以外にも特別会計などの資金も利用する予定のようですが、内閣府の試算は国費増加分(7.6兆円)以上はGDPが概ね増加しないことを意味する内容になっています。これは、ケインズ理論の政府支出乗数(=△Y / △G)が1未満ということを表すと思われます。

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