「自民・稲田氏、公文書の保存期間「見直し必要」」に対する雑感

「自民党の稲田朋美幹事長代行は26日のNHK番組で、首相主催の「桜を見る会」に関し公文書の保存期間のルール見直しを主張」し、「「公文書は民主主義の基盤だから管理の方策を徹底的に検討する」と話した」という。

筆者も公文書管理の見直しは必要に思います。そもそも、現行の公文書管理法は、我が国の歴史的な歩みを将来の資産とすることを目的に制定されたもので、極めて重要な法律です。この法律の制定を主導したのは、自民党の福田康夫元首相であり、2009年に制定され、2011年に全面施行となりました。 

なぜ、公文書管理法が重要なのでしょうか。それは、公文書管理法第1条(目的)にも記載がありますが、国民主権の理念に則り、健全な民主主義の根幹を支える国民共有の知的資源として、主権者である我々国民が正しい情報を得て民主主義的な判断を行うためです。

また、外交や安全保障などの公文書は、我が国の歴史的な歩みを現在及び将来の国民が把握するための貴重な資産となります。

しかしながら、公文書管理法第7条では、行政文書の保存に関する行政官の負荷を軽減するため、1年未満保存の行政文書を行政文書ファイル管理簿に登録しなくても構わない例外としており、この例外ルールを利用すれば、同法第8条や第21条・第22条の規定において、廃棄を各行政機関の判断で行い、審査請求を回避することもできる法構成となっています。

すなわち、1年未満保存の行政文書に恣意的に位置付けてしまうと、その作成や廃棄も外部からは全く分からない「ブラックボックス」とできるという「法の抜け穴」を利用し、貴重な資産(公文書)の一部が廃棄されているわけです。

また、公文書管理法は、1999年に制定された行政機関情報公開法と「対」を成すもので、公文書管理が形骸化し、重要な公文書が廃棄されてしまうと、国民主権や民主主義の基盤の一つである情報公開法の意義も低下することになります。

この問題を解決するためには、行政文書の保存に関する行政官の負荷を高めてしまいますが、例えば、行政文書の作成や破棄が把握できない1年未満の保存期間は原則廃止するか、あるいは1年未満保存の行政文書の指定要件を法的に厳格化し、必要があれば一定数以上の議員の発議で、政治的に独立した組織が公文書管理の外部チェックを行うことができる組織を創設する試みも必要ではないか、と思います。

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