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公的年金改革(案)に対する雑感②(受給開始年齢を75歳までに拡張)

以下の記事は、政府の年金改革案を取り上げています。

改革案の一つが、以下のとおり、受給開始年齢を75歳までに拡張するというものです。

「今は原則65歳が受給開始年齢で、60~70歳の間で時期を選べる。これを75歳まで延ばす。受取時期を1カ月遅らせるごとに月あたりの年金額は65歳で受け取るより0.7%増える。75歳まで遅らせると84%増だ。
19年度の厚生年金は夫婦2人のモデル世帯で月22万円。賃金や物価などの変動を考慮しなければ、75歳まで繰り下げた際の年金額は40万円強に増える。海外では平均寿命の延びに合わせて支給開始年齢を遅らせる国もあるが、選択肢の拡大で対応する。

この改革は、以下のコラムでも指摘しているとおり、マクロ経済スライドによる給付減(約4割)を考慮しても、給付水準を約4割も増やすことができるため、このような繰り下げを選択する高齢者が増えていけば、貧困高齢者の増加を抑制する効果もあり、極めて重要です。

理由は単純で、日本の公的年金制度では「繰り下げ」の仕組みがあるため、平均余命の伸び等に伴うマクロ経済スライドの発動で給付水準が削減されても、その削減に見合う分だけの繰り下げを選択すれば、給付水準は維持できるからです。支給開始年齢が75歳まで選択可能とする制度改革案が成立すれば、この効果は一層強化されることになるでしょう。

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