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日本も「独立財政機関」(IFI)の創設を!

先般の日経新聞(2019年10月19日朝刊)の「大機小機」では、以下の「民主主義と経済政策」という寄稿が掲載されています。

この寄稿では、「平成時代の経済政策は、立ち遅れと対応ミスの繰り返しだった」として、「民主主義の枠組みを維持しながらも、近視眼的な民意に左右されることなく、経済の論理に沿った適切な経済政策を実行する」ため、以下の3つの提言をしています。

第1は、超党派での議論の場を設けることだ。国民に不人気な政策は個々の政党が提案すると、民意に訴えてこれに対抗しようとする政党が現れて、言い出した政党は選挙で不利になってしまう。超党派での議論を繰り返し、各党が一致して提案すれば、こうした問題は避けられる。
第2は、広い意味での証拠に基づいた政策論議(EBPM:Evidence Based Policy Making)を広めることだ。直面する問題点と対応策、その政策効果をできるだけロジカルに、データに基づいて議論するようにすれば、政治的利害に基づく議論を、ある程度は排除できるはずだ。
第3は、独立財政機関(IFI: Independent Fiscal Institutions)の設置だ。これは政府から独立した機関が、財政予測の提供、各種政策の財政面への影響の分析、財政政策に関する種々の提言などを行うものである。欧米では多くの実践例がある。

この提言には私も賛成ですが、特に3番目の「独立財政機関(IFI)の設置」が最も重要に思います。

独立財政機関としては、オランダの経済政策分析局(1945年設立)やアメリカの議会予算局(CBO:Congressional Budget Office、1974年設立)が長い歴史をもち有名ですが、最近は、イギリスの財政責任庁(OBR:Office for Budget Responsibility、2010年設立)、スウェーデンの財政政策会議(2007年)、アイルランドの財政諮問会議(2011年)などが設立され、このような役割を担っています。

日本も加盟するOECD(経済協力開発機構)諸国のうち独立財政機関を設置した国の数は2014年で20を超え、過去10年間で3倍になっています。しかしながら、現在のところ日本において独立財政機関は存在しておらず、我が国でも財政の長期推計などを担う「独立財政機関」の創設を検討するべきではないでしょうか。

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