どうする地方創生

「平成」の時代がもうすぐ終わりますね。戦後に築き上げた様々な仕組みが時代や環境変化に適応できず、漸進主義的で抜本改革が進まず、もがく「30年」だったように思います。特に人口減少への対応は、財政・社会保障改革を含めて「道半ば」です。

環境変化という意味では、やはり「人口減少」の影響が最も大きいように思います。振り返れば、以下の記事が指摘する通り、日本が人口減少に突入したのが約13年前でした。このとき、「2005年12月27日の閣議に竹中平蔵総務相(当時)が報告した05年国勢調査の速報値はその現実を突き付け」、「日本の総人口(05年10月1日現在)は1億2775万6815人と04年の推計人口から約2万人減少。戦後初めて前年を下回」りました。

では現在はどうでしょうか。総務省の「人口動態調査」(2018年1月1日時点)によると、2018年の日本の総人口は1億2520万9603人で、2017年から37万4055人減でした。調査開始した1968年以降、この減少幅は過去最大です。出生数も94万8396人で過去最少でした。

人口減少は加速しており、もはや人口減少が今後も続くことは明らかです。ですが、なかなか政治がその課題(例:財政・社会保障改革)に対応できない本質的な理由は何でしょうか。

人口増加で高成長の時代には、政治は成長で増えた富の配分を担うことで大きな力を発揮しましたが、人口減少で低成長の時代に突入して以降、政治の役割は「正の分配から負の分配」に急速に転換しつつあるものの、それに対応できない政治が機能不全に陥りつつあるからではないか、というのが私の仮説です。

地方自治体や民間に問題を解決する知恵があっても、中央官庁の縦割りの規制や政治的利害が絡み、身動きがとれないケースも多いのが現状に思います。この脱却には、中央省庁が担う政治的な調整コストの一部を分散化する仕組み、すなわち、道州制を含む地方分権が必要であり、その鍵を握るのが(広域地方計画を含む)国土形成計画やその基盤となる「地方庁」(仮称)の創設であると考え始めています。

このような問題意識を含め、先般(2018年12月11日)、地方創生総括官として陣頭指揮をとった山崎史郎氏や、財政・社会保障、地域振興の専門家との共著で、以下の『どうする地方創生 2020年からの新スキーム』 (日経プレミアシリーズ)という書籍を出版しました。なかなか一筋縄では解決が難しい問題ですが、そのヒントを含め、ご関心がある方は是非ご覧いただけますと幸甚です。

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