「年金額0.2%増に抑制 20年度、マクロスライド2年連続」対する雑感
以下の記事のとおり、年金の給付水準を実質的にカットするため、厚労省が2020年度も2年連続でマクロ経済スライドを発動することに決めました。
2年連続での発動は画期的なことですが、カット率はどの程度でしょうか。上記の記事には以下の解説があります。
年金額は賃金と物価の伸びに応じて決まる。総務省が24日に発表した消費者物価指数は前年比0.5%の上昇で、厚労省が計算に使う過去3年間平均の賃金上昇率は0.3%だった。物価の伸びが賃金を上回る場合は賃金が基準になるため、本来であれば改定率は0.3%増になる。
すなわち、年金の給付水準のカット率は0.1%で、2020年度を含め、マクロ経済スライドの発動は以下のとおり、3回目です。
マクロスライドの発動は今回で3回目。15年に0.9%、19年度に0.5%抑制してきた。実施しなかった場合と比べ、単純計算で3兆2500億円を子や孫の世代に引き継ぐことができる。
これまでの発動より、将来世代に対し3.2兆円の負担先送りを防ぐことができたという説明はそのとおりです。しかしながら、公的年金(国民年金+厚生年金)が抱える暗黙の債務は約15年間で1.6倍になり、現在は1110兆円にまで膨張しているため、依然、年金の世代間格差が深刻な状況にあることは忘れてはいけないと思います(詳細は以下のコラムを参照)。