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「成長底上げ 増税か減税か」に対する雑感

2020年のアメリカ大統領選まで約1年になりました。このような状況の中、以下の記事では、アメリカの民主党・共和党の両候補が打ち出す政策を取り上げています。

税制が担う最も重要な機能は「再分配」であり、政治の役割は「成長と分配の重心を探ること」にありますが、上記の記事は、経済成長と税制(分配)を巡る「神学論争」を扱っています。

アメリカの民主党(例:ウォーレン上院議員)は、「アメリカン・ドリーム」を体現した富裕層や大企業に巨額増税を課す構想を提示していますが、共和党(例:トランプ大統領)は、「減税が経済成長を促し、企業や家計の所得も増えて最終的には税収も増える」という立場です。

どちらが正しいかは、精緻な分析や民主的な意思決定に委ねる必要がありますが、このような対立軸が出てくることは、日本と異なり、アメリカでは政治的な財政規律がそれなりに機能していることを意味します。

というのは、もし財政規律が機能せず、減税や歳出拡大の財源を財政赤字で賄う場合、増税か減税かという対立軸は不要であるからです。財政赤字を賄うため、国債発行を行えばよいわけです。

しかしながら、財政規律がそれなりに機能している場合、歳出拡大や減税には財源が必要です。アメリカの民主党では、国民皆保険構想の財源確保のため、富裕層や大企業に巨額増税を課すという提案を行っており、共和党では、減税が経済成長を促し、最終的には税収を増やすシナリオを提示しています。

レーガン・ブッシュ時代も「超大型減税」を行ったものの、その効果は低かったという分析が主流であり、共和党の提案には留意が必要ですが、それでも財政規律を考慮していることは確かです。1000兆円もの公的債務を抱える日本でも、財政規律を重視した上での政策論争を期待したいものです。 

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