「はじめてのウイルス」のような説明書~なんで「石けんで手洗いが必要なのか」~

新型コロナウイルスが流行り始めた3月、所属する団体の公演が中止となりました。

父が業務用洗剤のメーカー+清掃実行部隊持ちビルメンテナンスの経営者で、コロナウイルスに対応している除菌洗剤を持ち、除菌清掃の基本・方法を知っているので情報を叩き込まれました。

「ただの風邪でしょ?」「どのくらいヤバいの?」と、まだウイルスに対して情報が広まっていなかったとき、アメリカのCDCガイドラインをいち早く得た父の情報は、公演を中止する決断理由の一つにもなったようです。

中止が決まった日の夜、みんなで残念回ということで中華料理を食べていた(当時はまだ「集団での食事を控えるべき」という通達はなかったので)時、ウイルスについてのお話もしていました。

そしたらメンバーの一人が「それTwitterで載せたほうがいいですよ!絶対バズリますよ!」と言いました。

そう簡単にはいかんだろ、と思いつつまとめてツイートしてみると、瞬く間に8000RTをたたき出しました。

今はもう専門家の方たちが次々と情報を発信してますが、当時はそれだけ貴重だったのだと思います。

で、ふと思ったのです。

「そもそも根本のわかりやすい情報を欲しい人いるのでは?」

専門性の本と同時に必要なのが入門の本です。「はじめてのウイルス」みたいなやつ。

父も私も思う、教える時に大事なものが

「相手にものを教える時は必ずイロハの『イ』から教えないとダメ」

というもの。私がワークショップで教える時もコレを大事にしています。

今この情報が役立つかどうかはわかりませんが、ウイルスを全く知らない人に対して少しでも役立てれば幸いです。専門性のお話は専門家にお任せして。

子供の素朴な疑問、「なんで?」と聞かれたときに簡単に答えられるように。

そしてこのnoteに書くことで、自分への勉強確認も込めて。


はじめてのウイルス第一章 ウイルスと手洗い


まず父に教えられたのが

「そもそも『ウイルス』って何?」

でした。



最初にカテゴリーを言うと、ウイルスは『微生物』の一種です。

一般の細菌、真菌(カビ)、芽胞菌…これらとウイルスを総称して微生物と言います。

その中でも、細菌とウイルスの違いを伝えるのが一番だと教わりました。

細かく言うと様々な違いがあるのですが、大きく覚えておけばいいのは2つだけです。


ウイルスと細菌の違い①:めっちゃ小さい


種類によって様々ですが、大体においてウイルスは細菌に比べてものすごく小さいです。

細菌を人間とするとウイルスは消しゴム1個くらい。50~100倍くらい大きさが違います。

なので、細菌なら通れないような隙間でもウイルスは余裕で入って来ます。

マスクだけでウイルスを防ぐ役には立たないというのがこれ。マスクは自分の飛沫を飛ばさないのがメインで「『うつらない』ではなく『うつさない』」のがマスクの役割です。


ウイルスと細菌の違い②:自力では増えない


極端ですが、細菌は水さえあれば勝手に増えていきます。

それと違いウイルスは生物の細胞が無いと増えません。

なので、外へ出たウイルスは通常数時間で不活性化(死ぬ)します。なので大事なのは『体内に入れないこと』となるわけです。ハイパー内弁慶だと思ってくれればいいです。

※コロナウイルスはこの不活性化までの時間が長いのが厄介なのですが、それはまた別の時に


とすると次の疑問。

「どうやって体内に入るの?」

これ、ほとんどの場合は

からの感染です。

もっと正確に言うと、「ウイルスのついた手で目・鼻・耳など粘膜のある部分に触る」からです。

人間は無意識に1時間に3回顔を触るというデータがあり、ふと気づくと顔を触っていること、多くありませんか?

だから大事なのが「手洗い」です。

専門家の方が口をそろえて言ってますが、

手洗いを超える感染予防はマジで無いです。


そして手洗いも、水の手洗いでは意味がありません。

石けんで手洗いすること、これが本当に大事です。

何故か。

水で洗うと汚れの8割くらいは落ちます。

しかしこれ逆に言うと、2割残ります。

ウイルス2割残ったらアウトです。

この残り2割を落とすために石けん(界面活性剤)が要ります。

界面活性剤の役割も大きく2つです。

まず1つ目は

「水と油を仲良くさせる」です。

これはなんとなくイメージつくと思います。油汚れを水で落とそうとすると難しいですよね。

ところが石鹸や洗剤などの界面活性剤を使うと水と油が混ざり(乳化といいます)、汚れが簡単に落ちます。

ウイルスが油汚れの下にあると普通の水では落ちませんが、これで油と共に流すわけです。

境界面を活性化させるので「界面活性剤」と名前が付きました。

因みに父はこの名前を「ダサい」と言って気に入ってません。

そして界面活性剤のもう一つの働きが

「水の表面張力を落とす」です。


人間の手や壁・床などの表面は目に見えない小さな溝がたくさんあります。この中に入った汚れは水では簡単に落ちません。

子供が土いじりをして手が泥だらけになった時、水だけで洗っても落ちない経験ありませんか?あれは溝に入った土・泥に水が届かないからです。

何故か?水は表面張力が強いからです。

コップ一杯に水を入れると表面がポコッと膨らむアレです。

ここで石けん・界面活性剤の出番。

界面活性剤は水の表面張力を弱める働きがあり、溝の中にも水が入っていきます。

湿潤することで汚れを落とすことが出来るのです。

はい、ここでさっきのウイルスの特徴①を思い出してください。

ウイルスはめっちゃ小さいんです。

なので手の溝とか余裕で入ってきます。普通の水だけでは届きません。

なので、石けんで手洗いすることで、溝の中に入ったウイルスも落とすことが出来るのです。


同じ理由で、アルコールや次亜塩素酸水はウイルスに直接効果はあっても「汚れを落とす効果」は無いのです。

あれはどちらかというと石けん・洗剤で綺麗になった所の仕上げだと思ってください。

なので、アルコールや次亜塩素酸水をやって「ウイルス対策完成」と思うのは危険です。(水よりは勿論効果はありますが)


ということで「はじめてのウイルス」第一章はこんなところで。

次は…あるのかな。

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