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【裏街記憶コレクション】 #001 大手町ガード下(東京都千代田区)

数ある街を訪ね歩いて発見する風景の一つ一つに思いを馳せると、我々のような人間からしてみれば、記憶にこびりついているものは大抵は薄汚い路地裏だったりガード下だったり、都市の日陰に落ちているような陰気臭い風景ばかりなのである。観光客が大勢行き交うような明るい場所にも隣り合っているのに、なぜかその場所だけ人の流れが途絶えて、淀みきっている…

そういう場所に唯一無二の魅力を感じて惹かれてしまうのが我々、DEEP案内取材班だ。よく子供の時の遊びで、近所の公園だか庭先だかで、ジメジメとした日陰に落ちている石を持ち上げてその裏を見ると、気持ちの悪い虫がベッチャリとついていて、やたらと胸を躍らせるような経験の一つや二つは無かっただろうか。裏街歩きの醍醐味というのは、まさしくあれに近い感覚である。

これまで当取材班が歩き回った、日本全国に散らばる、そんなジメジメとした鬱陶しく陰気臭い裏街の数々を今一度振り返っていこうというのがこの新コーナー「裏街記憶コレクション」である。

東京駅の目と鼻の先なんですけど…

記念すべき第一回目は、我が国ニッポンの首都である東京の表の玄関口であるはずの「東京駅」の目と鼻の先にある場所だ。住所で言う千代田区大手町のJR線のガード下である。「大手町ガード下」と呼ぶべきだろうか。本来なら近隣のオフィスビルにお勤めのサラリーマンが忙しなく行き交うような場所のはずだが、東京駅より若干神田寄りのこの一画はかなり空気が淀みきっている。

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