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【西成&阿倍野】大阪にもある坂と階段の街並み「上町台地」の崖っぷちを辿ると飛田新地へ【倒壊家屋は今】

大阪市内の街並みというものを軽く想像すると、大抵が大阪平野の真っ平らな土地の上に連なる下町風景ばかりが前に出てきて、例えば神戸だとか東京の“山の手”に見られるような「坂と階段の街並み」というものはイメージには現れない。実際に暮らしている市民の自転車保有率は高く、どこに出かけてもチャリンコだらけ。だがそんな大阪市内にも「上町台地」というものが存在している。

北は大阪城から南は住吉大社のあたりまで、南北12キロに亘って連なる大阪市中心部唯一の台地。この土地を中心に大阪の街が開けていった。海面が今よりも高かった太古の昔にはこの台地上は半島の岬のような形状を成していて、そこから内陸側は河内湖と呼ばれていた…とか言われてもよーわかりませんけれども、下町だらけの大阪市内で稀有な“高級住宅街”とされるのは必ずこの上町台地沿いと決まっている。


ところで以前からとりわけ気になっていたのが2021年6月25日に起きた「西成区の住宅地で家屋倒壊」という話題がお茶の間を賑わしていた事だ。倒壊の決定的瞬間がテレビや動画サイトなどで流れ、その倒れ方がまるで“ドリフのコントの家みたい”とか言われてしまった件。実はその場所は西成区と阿倍野区の境目にある、この上町台地の崖っぷちに建っていた家だったのだ。

阿倍野区と西成区の境目にある「聖天山公園」

それで今回は上町台地沿いの一画を散歩してみることにした。倒壊家屋から比較的近いところに位置する「聖天山公園」からスタートである。ちょうど上町台地の崖線が区境になった一帯で、ここの住所は阿倍野区松虫通三丁目だが、すぐ隣は西成区聖天下になる。最寄りの駅は地下鉄堺筋線および南海本線天下茶屋駅…

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