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詩『呪縛』(ルネ・マグリットによる絵画作品『The Great War』に寄す)(作:虎井春)

自分の影に懐中電灯を当てて、
貴方は私の心臓めがけて閃光を放つ。
麦溜ボンボンに微酔いながら枕に噛みつく、
愚痴り合う長電話が微弱な電波を共鳴させる。

散々歩いてきたふりをして足踏みを何万回も
繰り返すだけの貴方を救える強さを。

呪いの鎖で互いの体躯が繋がったまま、
性懲りもなく抱きしめ合う毎日をいつしか
墓場の隅っこで蠟燭点けて百物語るんだろう。

爛々光っている眠気は忘却の彼方へ
寝言を吐く貴方の頬を拭える弱さを。

継ぎ接ぎの岩肌が聳える山脈の麓に、
星屑が落とした すみれの花束が横たわる。
華やぐ混沌の瓦礫をかき分けて進む、
巫山戯合う糸電話が微弱な音声を共鳴させる。

春は執行猶予期間に過ぎないけど、
私達は永遠の呪縛を祈る。

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