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連作詩③『梨園の弟子』

舞台裏で照明のスイッチを握り締めて貴方を見送る
私達は暗黙の了解で刻まれた台本を開いて一字一句澱みなく
奥歯にこびり付いた青海苔を隠しながら読み続ける。

舞台袖の代役の背中を無責任に押し出して見送る
私達は不可避の宿命が綴られた脚本を棄てて一挙手一投足迷いだらけで
棘の如く傷む刺青を胸に彫り出したまま駆け出していく。

月並みな演技で覆われた予定調和の世界に
即興演奏の隕石を投げ込む汚れ役くらいがお似合いだ。

舞台裏で照明のスイッチを握り締めて貴方を見送る
私達は暗黙の了解で刻まれた台本を開いて一字一句澱みなく
仕組まれた伏線の上を綱渡りしながら読み続ける。

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