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詩『生憎』

温存していた体力の限りをはみ出して飛び出した少量の日焼け止め
血の気のない左掌を撃ち抜いて中身のなくなった容器を捨てる。
代替品で満ちた店頭の棚 必需品っていうのは性格の悪い言葉だ
生理用品の棚の前で肌を焼く切れかけの蛍光灯を見上げた。

生活を憎んだとしても太刀打ちできるほど頑丈じゃない心
河原の石を流れに投げ込んだ沈んだ波は荒ぶっては流れに負けた。

想像していた景色は疾うに限りをはみ出して破裂した少量のマヨネーズで
銀色で無機質なシンクを撃ち抜いて中身のなくなった容器を洗う。
代替品で満ちた冷蔵庫の中 必需品っていうのは残酷で最愛の言葉だ
生理用品の棚の前で肌を焼く切れかけの蛍光灯は言切れた。

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