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詩『蜚語流言』

初対面の通行人に脈絡なく投げつけられた可塑性物質、
自然に分解されず蓄積される淘汰の血腥い痕跡。
土壌に跳ね返された徒種は蜚語流言となり発芽する、
疑心暗鬼が熟れず終いの果実を慾り喰らう。

誰も理解してくれないなんて嘆く前に、
持ち合わせる限りの災厄悲劇で
洒落にならにくらい自虐的な想い出で、
貴方を咲わせてみせるから。

見ず知らずの相席者に突如として擲たれた金属光沢、
他人格に憑依されて暴徒化する民衆の薄穢い燃料。
土足に踏み砕かれた徒種は蜚語流言となり発芽する、
明鏡止水が腐りかけた果実で汚濁される。

誰の顔も見たくないなんて喚きたいなら、
持ち合わせる限りの陰湿耐性で
犬も食わないくらい憫然たる想い出を、
貴方を咲い飛ばしてみせるから。

喉元に湧き上る溜飲を撒き散らせ、
後味の悪い小説みたいな青春だろうと
明日には馬鹿にし合えるだろうし、
葡萄はどうせ酸っぱいだろうし。

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