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マンガ「チ。ー地球の運動についてー」を読んで

この漫画は2020年に1巻が発売されており、2021年マンガ大賞では「葬送のフリーレン」に次いで2位を獲得。そして2024年にアニメ化も決定している全8巻の完結済みの作品である。話題になってから少し時間が経った今、読んでみたところ想像以上に美しい話だったのでこの感動を共有したいと思い、「チ。地球の運動について」について書いていく。


目次


①あらすじ
②この漫画の魅力
③最終話の意味とは
チ。ー地球の運動についてーを読んでいない方に初めて読んだ時の感動を感じて欲しいため③以外では極力ネタバレになるようなことは書きません。


①あらすじ


舞台は15世紀のヨーロッパ、P王国。聖書に反する「異端思想」が激しく弾圧されていたこの頃、天才少年・ラファウは上手に生きることを第一に考え、当時最も重要と考えられていた神学の専攻を考えていた。そんなある日、父である学者のポトツキに勧められ、過去に一度「異端思想」に関わったとして厳しい刑罰を受けたという謎の男のもとを訪ねる。
しかし、そこでその男に天文学の研究の手助けをしろと脅迫される。その研究内容はまさしく異端思想そのものであった。主人公ラファウはそんな異端思想の魅力に飲まれていくー。

②この漫画の魅力


地動説を証明しょうと奮闘する者たちの信念や思いそしてその姿がとても美しく描かれている。私は天文学が苦手分野であり、今まで1度たりとも美しいだなんて思ったことは無かった。しかし、そんな私でさえ、この物語に出てくる彼らの天文学を真に愛する姿を見て、初めて天文学に興味が湧いた。それほどまでにこの物語は私に感動を与えた。
また、この漫画の魅力として挙げられるのは、全てを語らないというところであろう。ネタバレになってしまうのであまり言えないが、何箇所も疑問が残るように(明らかに意図的に)書かれている。
こうした、読者に想像させる書き方はまるで小説かのようである。
この作品は漫画の手軽さ、読みやすさ、そして臨場感に加え、文学的な深さ、物語全体を通した美しさをも兼ね備えたものであると私は考えている。

③最終話の意味とは


この最終話こそこの漫画が難解である所以だ。
まず注目すべきは1話の冒頭と同じように「15世紀(前期)ポーランド王国」と書かれているところである。1巻では「P王国」と言ったようにぼかしが入っていたが、それが外されている。これはここまでの話はあくまでもフィクションであり、ここからが現実世界の話であると示唆しているのであろう。
そしてその後、少し大人びたラファウが登場する訳だが、彼は1巻のラファウと同じ境遇にありつつ、全く違う運命を辿るのである。その後もこれまでの登場人物たちが続々と登場する。
ではここで疑問が生じる。確かにこの8巻終盤の世界は現実世界のようだが、ここまでのフィクションはなんだったのか。ブルゼフスキの妄想なのかはたまたパラレルワールドでの話なのか。
また、何故このパートを入れたのだろうか。正直、このパートを入れずとも綺麗に完結できただろうに入れているということは何か意図があるのだろう。こうした疑問を解決するため、もう一度読み返すのも一興だろう。