BGMで語るゲーム 第1回「ZERO」

どうも、深井業です。

今回は好きなゲーム音楽とその思い出を語ろうと思う。当然ネタバレありなので、未プレイの方はクリアしてからの閲覧を推奨する。

新たなる血、新たなる戦い

今回紹介するのは、ACE COMBAT ZERO THE BELKAN WARより、「ZERO」

ACE COMBAT ZERO(以下AC0)は2006年にナムコ(現バンダイナムコ)から発売されたフライトシューティングゲーム。

世界を巻き込んだ大戦「ベルカ戦争」を舞台に、大戦の行方と歴史に埋もれた真実を解き明かすドキュメンタリー風の作りで、過去を知る人物達へのインタビューは実写で描かれているという独特な作品だ。プレイヤーはコールサイン「ガルム1」としてベルカ戦争を戦い抜くことになる。
システム面の特徴としては、プレイスタイルにより遭遇する敵部隊や演出が変わる「エーススタイル・ゲージ」という特徴的なシステムのほか、僚機への指令を細かく設定できるようになっているなど改善が図られた部分もある。

2005年、「とある出来事」の情報の一部が出回った。それは10年前、世界を巻き込んだとまで言われた大規模な戦争「ベルカ戦争」に関するものである。
ジャーナリストのトンプソンは開示された情報に興味を示し、それに飽き足らず出どころ不明の闇情報にまで手を伸ばした。そしてその情報のなかから、とある傭兵と繰り返し登場する「鬼神」という記述に注目する。そして取材の果てに、「鬼神」を知る人物「片羽の妖精」ピクシーことラリー・フォルクと接触することになる。「片羽」の言葉で物語の幕は上がる。

「あれは、雪の降る寒い日だった。」

何のために戦うのか

ピクシーは、ベルカ戦争の目的がベルカ公国に占領されたウスティオ共和国の解放からベルカ公国への侵略に変わってから、戦うことへの嫌悪感と疑問を抱くようになる。
平和ではなく国家間の資源や利権をめぐる醜い争いに嫌気がさしたピクシーは、連合軍とガルム1のもとを離れ、かねてから声をかけられていた「国境なき世界」という組織に参加する。彼らの目的は、国家という社会システムを破壊し、ゼロから社会を再構築すること。ピクシーは、その大義名分のもとで、大陸間弾道核ミサイル「V2」の管制と最新鋭の試作兵器を搭載した戦闘機「ADF-X02」の2つを任される。

ベルカ公国領内にある国境なき世界の拠点「アヴァロンダム」にて火蓋が落とされた国境なき世界と連合国との最終決戦。V2の管制システムを破壊したガルム1の前に、かつての相棒ピクシーが立ち塞がる。

「戦う理由は見つかったか?相棒。」

かつての戦友、2人の最強が今ぶつかり合う。

生死をかけた戦いに華を添えるBGM

今回紹介する楽曲「ZERO」は、このゲームの最終ミッション、2人の決戦のためのBGMだ。

前作ACE COMBAT5の楽曲「The Unsung War」の一部をベースにフラメンコ調にアレンジされている。

この曲で印象的なのは、やはり女声コーラス〜ギターソロ〜壮大なサビという一連の流れと盛り上がりだろう。
ゲーム音楽、しかもラスボス戦のBGMにフラメンコギターというのは非常に珍しいが、その情動的な旋律は一対一の決闘というシチュエーションに不思議とマッチしており、最終決戦の盛り上がりに一役買っている。
アップテンポな部分と落ち着いた部分の緩急がはっきりしており、ループで聴いていても飽きが来ない。曲が素晴らしいので、戦闘が長引いたりゲームオーバーになって再挑戦することになってもうんざりすることはないし、むしろ何時間でも聴いていられるという曲だ(個人差はある)。

自分は物心ついたころからビデオゲームと共にあり、今もなお肩までどっぷりゲームに浸かっている人間だが、BGMのような実際のゲームプレイ以外の部分に感動し意識するようになったのはこの作品のこの曲が初めてである。
そこまで意識を向けるほどの余裕がない、あるいは意識するほどの作品に出会ってなかった自分にとって、この曲はまさしく晴天の霹靂であり、運命的な出会いだったと言える。それまで何気なく聴いていたBGMが、焦燥感や悲壮感、あるいは希望や絶望を生み出す。そういった意識を持って改めて聴いてみると、どのゲームのどのBGMも、ゲームがもたらす感動体験をより一層印象深いものに変えているということに気がついた。この曲は、自分にとってゲーム音楽を意識するきっかけとなった曲なのである。だからこそ、最後のプレイから10年以上経った今もなお、あの感動体験が心に残り続けているのである。

おわりに

この曲に限らず、エースコンバットシリーズは印象的で心に残り続ける曲が非常に多い。しかしその多くはPS4以前のタイトルで、今からプレイするにはハードルの高いものばかりである。
だが、この記事を読んで少しでも興味を持っていただけたなら、是非一度プレイしていただきたい。そして、何ものにもかえがたい感動体験を、勇猛にして壮大なBGMとともに人生の糧としていただきたい。

今回はこれでおしまい。

「よお相棒、まだ生きてるか?
 ありがとう、戦友。またな。」