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夏休みの宿題は禁止です


中3の娘の夏休みが始まった。

一貫校で受験がないせいか、ちょっと可哀そうなくらいの宿題の量である。

中学生としての部活は引退したものの、休む間もなく高校の部活に合流したから、毎日、体育館を走り回っている。今時の体育館は冷房完備なので、外気35度を越えようが関係ないのである。

大人の世界は働き方改革がどんどん進むのに、子どもたちの世界は忙しさが加速中。本人は夏休みより、普通に学校に行ってた方が楽だとぼやいている。そりゃそうだ。

娘の学校は自主自立を尊ぶ、それはそれは緩い学校で、いわゆる進学校ではない。偏差値で進路を選ぶな、学びたい内容や将来の職業希望に合わせて選択せよ、との指導が徹底している。そのため卒業生は東大や医学部に進む子もいれば人間国宝に丁稚奉公しますみたいな子まで幅広い。そんな学校でもこんなに課題があるんだもん。面倒見の良さを売りにしてる進学校の子の夏休みはどんななんだろう。

大人になったら否が応でも働かなきゃいけない日常が待っている。1か月以上丸々の休みなんて、学生時代ならではの特権なんだし、そろそろ「宿題は出しません」でもいい気がするのだけど。

ちなみに、うちの娘の将来の希望は「締切に追われない仕事につくこと」。もういつまでに何を出せとか、マルチタスク必須の生活はうんざりなんだそう。

院卒の勉学をこよなく愛する先生方が、将来の進路を見極めるために良かれと出してくださった工夫を凝らした課題の数々は、15歳の娘を「アタマを使う世界にはつくづく向かない」と絶望させるのに甚だ効果的であった。「アカデミックな世界には、決して足を踏み入れるまじってことだね」なんてため息をついている。

そう、社会に出る前からすでに疲れているのだ。いずれ中国の若者みたいに寝そべり族になるんじゃなかろうか、とちょっと心配。

かくなる上は親としてできるのは、宿題なんてやらんでいいと許可することね、と言ったら、娘が「そうじゃないでしょ。お母様に唯一できることは、娘の宿題を手伝うことでしょ」と、学校で暇な時間に作って来たという、立派なタスク表をプリントアウトしだした。何がお母様だ。いつもキモっウザっとしか言わないくせに。

ハナコの欄に「課題図書1を読み、要約」などと、日付けごとに細かくやることが落とし込んである。「へー、見やすくよくできてるね」なんて感心している場合じゃない。18歳以下の夏休みの宿題は、今すぐ法律で禁止してほしい。








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