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大人の休日

散歩をしていたら、近所の公園でお祭りをやっていた。

あぁもうそんな時期か、と。

私の住んでいる街はお祭り好きなのか、8月末まで毎週末、何かしらやっている。自治会が複数集まって、やぐらを組んで、出店は金魚すくいやヨーヨーすくいなんかがせいぜい20店舗のささやかなものだけど、幼き日の娘の瞳はきらきらきらきら輝いていた。

ピカピカ光るブレスレットやヘアバンドみたいなガラクタを、まるで宝石を手に入れたかのようにベッドに持ち込んで、枕元に並べて寝てたっけなぁ。あぁ可愛かった。

娘が大きくなったあとは、私の世界はまるで色のないモノクロの世界になっちゃったみたい。

この5年で私の世界から消えてしまったもの。

プール、川遊び、潮干狩り、ホタルやセミの観察、トンボとり、登山、花火、バーベキュー、田植え、稲刈り、いちご狩り、ブルーベリー摘み、菜の花摘み、キャンプ、サイクリング、アスレチック、トランプ、かるた、凧揚げ、読み聞かせ、図書館通い、お菓子づくり…。


はぁぁ、ため息。


最近は娘と一緒に韓国ドラマを楽しんでいるんだけど、きっと娘が巣立っちゃたら、一人で見たりはしないんだろうな。

反抗期で可愛くない、可愛くないとブツクサいう毎日だけど、娘がいてくれたことで、私の世界は随分と色鮮やかだったみたい。

いかん、このままだと空の巣症候群になってしまいそう。


嘆いていたら予備軍は私だけじゃなくて、高校時代からの友人マサコとショーコもだという。そろそろみんな、子育ての終わりの時期を迎えている。お互いこのままじゃまずいよねと、旅行のLineグループを作った。


第一投稿はショーコから。

「みなさま、我々も生誕50年。晴れて大人の休日倶楽部に仲間入りできる年となりました。早速、会員になりましょうぞ」

えっ?大人の休日倶楽部ってあの吉永小百合がイメージキャラクターの?

小百合さまと言えば、母より年上で、物心ついたときにはすでに大女優だった。まさか自分がその小百合さまの広告する商品の対象年齢になるなんて。再春館のドモホルンリンクルのターゲット層になったと気づいた時と同じくらいの衝撃。

マサコからも「ショック死しそう」とレスポンスがあった。

おおぉ友よ。同級生ってありがたいわ。感覚が一緒なんだもん。大人の休日倶楽部会員は抵抗あるよねー、と。

そしたら、年に何回か新幹線が18000円だかで5日間乗り放題なんだとか。舌の根も乾かぬうちに、あらいいわね、と入会することに。

まだ年を取るのもいいもんだ、の境地には達してないけれど、強くたくましく生きて行く所存。

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