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【ヤクルト】窮地でチームを1つにした"覚悟"

こんにちは、でぃーだ(@Dee_bbyS)です。


開幕3連戦は1度も勝ち越せずに3連敗と良いところなくスタートを切った2021年のスワローズでした。

そして開幕4戦目も7回裏終了時で3点のビハインドと、開幕4連敗の影が見えてきたところでしたが、8回に3点差をひっくり返しての2021年初勝利。
今年こそ復活が期待される川端慎吾の逆転タイムリーには震えましたね…。


そんな劇的な初勝利の翌日3/31。突如として衝撃の公示がありました…。

西田明央と球団スタッフ1名がコロナウイルス陽性反応で隔離、加えて濃厚接触の疑いがあるスアレス山田哲人西浦直亨内川聖一青木宣親といった面々が「特例2021」で(一時的に)抹消となりました。
(※山田・西浦は翌日に復帰、川端慎吾も濃厚接触者として翌日抹消)

(↑参考:3/30 スワローズのスタメン

この日のスタメンを見てもらえれば分かる通り、先発投手のスアレスを含めて9人のうち6人が抹消されるという非常事態となりました…。


そんな未曾有の事態となった結果、
スワローズ首脳陣と選手は多くの”覚悟”を決め、そしてその覚悟が想像以上の結果をもたらすこととなりました。

ということで、今回のnoteではコロナ禍に見舞われた中でスワローズ首脳陣と選手が見せた”覚悟”について触れていこうと思います。



①中村悠平の2番起用

特例にて多くの選手が抹消された後、3/31のスタメンがこちら。

正直なところ、気になる点は多々ありますが、スタメンでの一番大きな変化は「2番 中村悠平」でしょう。

こちらについて詳しくはシュバルベ(@love_uni31)さんの素晴らしいnoteをご覧ください。(※雑な引用もご本人様の許可済みです←)

せっかくなのでそちらには書かれていない内容を。

実は「2番 中村悠平」という構想は、第2期小川監督時代の2018年からありました。しかし、(私が調べた限り)特に実戦で試されることもなかったですし、きっと今回の起用もこの発言が記憶にあった訳ではないでしょう。

「これは考え方なのですが、自由に打つ人を上から並べると、今の想定だと7番、8番が弱くなってしまうんです。バントをせずに1点が入れば理想ですけど、まずは昨年低迷した打線をなんとかしなくてはいけません。そうなると2番の位置づけが変わり、ひとつの選択肢として中村悠平が当てはまる。


むしろ今回の起用にいたった背景としては、その前の監督である真中満氏がサンスポの評論で語っていた内容が全てと言えるかと思われます。

2015年に”打って繋ぐ”「2番 川端慎吾」で優勝した真中元監督。それが現在のヤクルトにおける「2番 青木宣親」へと繋がっていくわけですが、
そういった実績のある人が(ある意味では)オールドスタイルな形でもある「2番 中村悠平」の評論をしていたのも凄く示唆的でしたね。

面白かったのは、2番に入れた捕手・中村。ここまで9打数4安打(打率・444)と当たっていた。若手に2番を任せるよりは、つなぎ役として計算できる。しかも、バントは上手な方。1番が凡退したら、安打に期待し、1番が出たら、送らせる。ベンチの思惑通り、一回と三回に犠打を決めて、攻撃の流れを呼び込んでみせた。


先述の通り主力選手を大量に欠き、かてて加えて村上宗隆が状態が凄く良いという訳ではないヤクルト打線。残った選手の層を見るに、今までのように”打って繋いで”大量得点を望むのは正直酷な状況でした。

そんな中で大量抹消の衝撃が走った3/31の内に「1番・山崎晃大朗が出塁し、2番・中村悠平で繋ぎ、3番・塩見泰隆で返す」の得点パターンの1点張りで戦うと首脳陣が"覚悟"を決め、その"覚悟"に選手がこれ以上ない形で応えたのはチームとしての成長の兆しを感じました。


また、3/31から4試合連続で「2番 中村悠平」を継続しております。
そのうちの2試合では安打を放ち、安打を放っていない2試合でも2つの犠打を決めたり状況判断の上で進塁打を放ったりと、今チームに必要とされている役割を的確にこなしているように思われます。彼の捕手としての高い能力がこういったところにも生きているのではないでしょうか…?

しかし、ただでさえ負担が多い捕手に加えて2番という打順を継続的にこなすというのは、中村自身への負担が大きいのが懸念点です。

そういった観点からか、4/3(日)には若手先発の金久保優斗が先発という事もあり、スタメンを古賀優大が務めました。
こういった形で目先の勝利にとらわれず負担軽減を行っていくことは
(中村悠平に限らず)シーズンを見据えると大事になると思われますね。



②延長なし9イニング制を逆手に取って(野手編)


今シーズンはご存知の通り、延長無しの9イニング制でシーズンが行われております。

昨シーズンは9回+延長1回と決まっていたため、9回で試合を決めることと延長を戦うことを両睨みで考える必要がありました。
しかし、今シーズンは何があっても9イニングで絶対に試合が終わるため、ゲームプランをより明確にして試合に臨むことが出来るようになったと思われます。

そういった事情と今回の緊急事態が相まって、選手起用にも大きな変化がありました。そのうちの1つが村上宗隆の途中交代についてです。

昨年までは(彼の守備面等の成長を期待したためでもあるでしょうが)途中交代は120試合中5試合と殆どありませんでした。
それが今年は9試合終了時で早くも3試合で途中交代をしています。

2020年度は120試合全試合にスタメン出場して、途中交代は5試合のみ。
【途中交代内訳】2試合:代走による交代、2試合:投手交代の兼ね合い、1試合:守備交代でした。 参考:nf3

特に印象的だったのが4/2(金)巨人戦 2点リードの8回表、先頭打者の村上宗隆が出塁した際に渡邉大樹を代走に起用したことです。

村上宗隆は昨年、史上3人目となるサイクルスチールを決めるなど、代走が必要ないほどの脚力もありますが、
この日は走力ではその上を行く渡邉大樹を代走に起用しました。そして渡邉大樹は初球で盗塁を成功させ、更なるチャンスメイクに成功しました。
(※なお得点は入らなかった模様)

なんだかんだで村上宗隆に頼らざるを得ない打線という状況もあり、彼に無理をさせない意図もあるかとは思いますが、
延長戦がなくなったことで後先考えず選手起用をでき、今まで以上に限られた戦力をフル活用するためという側面もあるのではないでしょうか。



③延長なし9イニング制を逆手に取って(投手編)


続いては投手起用に関して。
ここからは今年に限った話でもなければヤクルトに限った話でもないのですが、現代野球ではリリーフ投手の登板管理がとても大事とされています。

登板管理には様々な側面があるため一概に語ることはできませんが、
可能な限りで連投は避けるべきというのが一般的に言われています。

そういった観点か4/2の巨人戦では守護神・石山泰稚を休養させるために9回にマクガフを投入するなどの工夫をしておりました。
色々と開幕時には不安視されていた投手起用についても、(先発が改善傾向にあることも含めて)今のところ大きな問題はなく、無難に運用されているように見えますね。

こちらで印象的だったのは世紀の馬鹿試合となった4/1のDeNA戦、同点の8回裏の場面。普段だったら清水昇が登板するような場面ですが、ここで坂本光士郎を起用しました。
(※彼については何の因果か先週noteで触れていましたね…)

この日は時折コントロールを乱す場面もありましたが、球威で押し切って見事1イニングを無失点に抑え、プロ初ホールドを記録しました。

去年の1軍登板が1試合の選手が、シーズン序盤でホールドを記録するような場面で登板して結果を残したことは、本人の自信にもつながっていくのではないでしょうか。



④プラス面ばかりでは当然なく。


投手にしても野手にしても、ヤクルトの選手層の薄さは1つの大きな課題でした。
主力選手が抜けてしまったからこそ若手選手を"覚悟"をもって起用し、抜擢された前述の渡邉や坂本を始めとした選手が経験を得たり結果を出すことは、ある意味ではいいきっかけになると思います。


一方で繰り返しにはなりますが、
打力に期待される捕手である西田明央が陽性反応で離脱、そして2番青木宣親・5番内川聖一、加えて川端慎吾という今年のヤクルトが誇る巧打者3人が濃厚接触者と判定され、2週間の隔離を余儀なくされました。
加えて山田哲人のコンディション不良もあって、チームの打撃力低下が著しいものとなっております。


この打撃力低下による影響が多いのはリリーフ陣でしょう。

巨人戦に先発した3投手で、小川泰弘は7.2回無失点、田口麗斗は7回無失点、金久保優斗は5回無失点と全員とても頑張ってくれましたが、得点力が大きく落ちてしまったことで接戦にならざるを得ず、勝ちパターン並びにそれに準ずる投手を優先して起用せざるを得ない状況となってしまいました。
(※3試合の総得点は村上宗隆の2ランHR×2,太田賢吾のタイムリーで5得点)

結果として、リリーフ陣の登板数が嵩んでいきました。

その影響と断定することはできませんが、
4/3の試合は勝ちパターンの清水昇石山泰稚がそれぞれ失点して2-2の引き分け、4/4の試合は勝ちパターン候補でもあった坂本光士郎が2失点を喫して1-2の逆転負け…と、とても痛い結果となりました…。


そんな中で、ついに外国人選手4人が来日したという情報が届きました。

これから2週間の隔離期間を経てからチームへの合流となるため、どれだけ早くともGW頃の1軍合流となるかと思いますが、4人とも期待値の高い選手ばかりですので、戦力アップには間違いなく繋がる事でしょう。
今年のヤクルトを考えた際に投手陣にも打線にも大きなポジティブ要素でしたので、まずはそこまで耐え、傷口を広げないようにしたいですね…。


同じく東京を本拠地とする巨人でも陽性反応が出るなど、未だに感染が広がっているため、これからも余談は許しませんし、(どのチームであっても)こういったことがこれ以上起こらないと良いですが…。


⑤チーム一丸となって。

今のヤクルトはこういった非常事態の中、
この強い危機感が逆にチームを一つにしたように感じますし、残された主力選手や指揮官のインタビューでもその"覚悟"が伝わってきます。

小川泰弘「チームはこういう状況ですけど、団結して。気持ちの部分で負けないようにと思っていた
村上宗隆「今は本当に青木さんや内川さんがいない中で僕がしっかりしないといけないなと思っている
高津監督「みんなが色んな事を意識して、みんなは口には出さないけど団結だったり結束だったりを意識した、いいゲームができている


また、試合中の様子からもチームの雰囲気の良さが伝わってきますよね。


言わずもがな、単純な戦力面ではダウンしていることは否めないですし、
3/31,4/1のDeNA戦の際に見せた勢いや戦い方が長く続くことではないことも首脳陣や選手もきっと分かっているでしょう。

事実、今週末の巨人戦は(お互いに…ではありますが)戦力を欠く中で、物足りない中でも3連勝を狙えたような展開でもありましたが、
打撃でも守備でも基礎的な細かいミスが目立ち、結果として1勝1敗1分けという結果に終わりました。

※長年鬼門であった東京ドームでこの出来はそれはそれで凄く頑張ったなと思ってしまったのは秘密です…。笑


しかしながら、この状況だからこそ、1軍の舞台で経験を積むことが出来ているとも言えますし、そういった選手には是非自分の力を存分に発揮して(目先の勝ち負けだけではなく)将来への大きな糧として欲しいですね。


そして、ここを乗り越えた先にチームの成長があり、チームが完全体となった際には更なる強さが生まれるのではないでしょうか。いや、絶対に強くなると確信しております。

塩見泰隆「僕ら若手にとってはチャンスだと捉えて、結果を出してやろうと強い気持ちで打席に入った


このピンチをチャンスに変えた先にある更なる飛躍(※ヤクルトとかけて!)を期待して本noteを締めたいと思います。
最後までお読みいただきありがとうございました。


<参考>



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