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【コンクリート工事】

今回は「コンクリート工事」です。

「コンクリート工事」って他と比べて問題数多いですね。
コンクリートの種類も多いし、外気温にも左右されるし、プラントで練って運搬して、現場で打設して、養生して、脱型してって工程も管理する項目も多いですからね。
でも毛嫌いしてあきらめちゃうと2点捨てることになってもったいないので、少しでも取っ付きやすくなるように分かりやすさ重視で説明していきます。

【調合計画】

コンクリートはセメントと水だけでなく、骨材や混和材(剤)など、様々な材料を混ぜて作られます。
何をどれくらい入れるのかで品質が全く変わってしまうので、調合計画は重要です。
どんな項目を計画するのか順に見ていきましょう。

【コンクリート強度】

建物の規模や用途に応じて、どれくらいの強度が必要なのかを構造計算で算出します。
それを満たす条件を設計図に示します。

1)設計基準強度(Fc)・・構造設計者が「この建物のその部分のコンクリート強度は〇〇N/m㎡にして下さい」って指定するものです。

2)耐久設計基準強度(Fd)
・・最低基準の強度で「計画供用期間の級」によって以下の通り決められています。(特記で指定のない場合です)
≪短期≫ 18N/m㎡
≪標準≫ 24N/m㎡
≪長期≫ 30N/m㎡

3)品質基準強度(Fq)
・・設計基準強度(Fc)と耐久設計基準強度(Fd)の両方を満たす強度です。
つまりどちらか大きい方ですね。

4)調合管理強度(Fm)
・・現場で管理する強度です。
 品質基準強度(Fq)に外気温の影響を考慮した「構造体強度補正値」を加えた強度です。
「強度補正値」は以下の通り
[普通ポルトランドセメント]
外気温 0℃~8℃:6N/m㎡
外気温 8℃以上 :3N/m㎡
[高炉セメントB種]
外気温 0℃~13℃:6N/m㎡
外気温 13℃以上 :3N/m㎡

似たような名称で間違えちゃいそうですが、試験で問われた時には上記1)~4)の流れを思い出して、出題者が何を問うてきているのかを見抜きましょう。

【スランプ】

「スランプ」の上限値は「調合管理強度」によって決まります。

普通コンクリートの場合
33N/m㎡ 未満 ⇒ スランプ 18cm以下
33N/m㎡ 以上 ⇒ スランプ 21cm以下
となっています。

【水セメント比】

「水セメント比」は「水/セメント比」って覚えましょう。
コンクリート1m³中の「セメント」に対する「水」の割合です。
「~1m³中の○○」なのでそれぞれ
「単位水量」
「単位セメント量」
と言います。

また、水が分子にあるので水の比率が多ければ、水/セメント比は大きくなります。

ここで施工サイドからすると、スランプが大きい方(柔らかいコンクリート)が扱いやすく、そのため水/セメント比は大きくしたい。
一方で品質的には強度や耐久性が下がってしまうので、水/セメント比は小さくしたい。
そこで『水セメント比は65%以下』みたいに上限を定めます。

ちなみに供用期間の級が標準の時、
普通ポルトランドセメント・混合セメントA種の場合は「65%以下」
混合セメントB種の場合は「60%以下」
という規定があります。
さらに「水密コンクリート」の水/セメント比の上限、これは「50%以下」です。
「水密コンクリート」は水槽やプールなどに使われるので、厳しい条件が課せられるのですね。

【単位水量・単位セメント量】

「単位水量」については、大きくなるとコンクリートにどういった影響があるのか、をイメージ出来るようになりましょう。

一方「単位セメント量」については、大きくなった場合と逆に小さくなりすぎた場合の影響をイメージ出来るようになりましょう。

●「単位水量」が大きくなると・・

[スランプ]が大きくなる
-何で?-
コンクリートが柔らかくなるから

[ひび割れ]が発生しやすくなる
-何で?-
乾燥による収縮度合いが大きくなるから(水がたくさん抜けていく)

[耐久性]の低下につながる
-何で?-
水分がたくさん抜ける事でコンクリート内に隙間が多くなるから

ちなみに単位水量の[上限値]は以下の通り
普通コンクリート  185kg/m³
高強度コンクリート 175kg/m³

「単位セメント量」が大きくなると・・

乾燥収縮や水和熱による[ひび割れ]が発生しやすくなる
-何で?-
セメントは化学反応して硬化する→この時の化学反応は発熱を伴う→セメント量が多いと発熱が大きくなる

○「単位セメント量」が小さくなりすぎると・・

品質的に悪影響を及ぼします。
具体的には
[耐久性]の低下
[水密性]の低下
[ワーカビリティー]の悪化

上記を念頭に過去問を解き、解説を読むとしっくり来ると思います。

【空気量】

基本的に 空気量=[4.5%]です。

あとは、過去問で出題された以下の下限値を確認しておきましょう。

コンクリート充填鋼管(CFT)柱に使用するコンクリートの空気量→[1.0%~4.5%]の間で良い
-何で?-
コンクリートが鋼管で覆われているので、空気量が耐久性に影響を与えにくいから。

凍結融解作用を受ける恐れのあるコンクリートの空気量→[4.0%以上]とする
-何で?-
凍結融解作用というのは、コンクリート中の水分が凍ったり溶けたりを繰り返す事により、表面が剥離する等の現象です。
水は凍ると膨張しますが、空気はその衝撃を吸収する役割を果たします。
空気量が少なすぎると、上記の役割を果たせなくなるから。

【混和剤】

「減水剤」
コンクリート中に気泡を発生させるので
[単位水量]を低減させることができる
[ワーカビリティー]を改善できる

以上が調合計画になります。
以降、現場での施工の流れにそって用語を説明していきます。

【受入検査】

「検査の手順」を見ていきます。
1. 荷卸し採取
1台目のミキサー車が現場に到着したら「試験屋」さんが一輪車を押していって、生コンを受けます。
と、その前にトラックアジテーター(ぐるぐる回るドラムみたいな所)を30秒くらい高速回転させて、品質を均等にします。

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2. 外気温
予め確保しておいた試験場所まで行って、これも予め出しておいた温度計を見て「外気温〇〇度」と記録します。

3. コンクリート温度
次に適当な大きさの容器にコンクリートを入れて、さっきの温度計を突き刺します。
これはしばらく放置してから読み取って記録します。

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4. 塩化物量試験
適当な大きさの容器にコンクリートを入れて、今度は「カンタブ」(←商品名です)を突っ込みます。
「カンタブ」っていうのは、コンクリート中の塩化物量を測定する試験紙みたいなもので、塩化物に反応して色が変わっていきます。
こいつらは時間がかかるのでこうやって放置です。

5. スランプ試験
鉄板を水平に設置して表面をキレイに拭きます。
スランプコーンをセットして、両足で踏んだ状態でコンクリートを入れていきます。
3回に分けて入れますが、一層入れる毎に棒で25回突っつきます。
コンクリートの天端を平らに均し、スランプコーンを押さえつけながら踏んでいた足をずらして、コーンを引き上げます。
試験体が落ち着いたら、専用の測定器でどれだけ下がったのかを測定します。
フロー値というのは、コンクリートが平面的にどれくらい広がったのかを測定します。
スランプコーンは円形なので、コンクリートもほぼ丸く広がりますが、測定は縦×横とします。

6. 空気量試験
こちらも3回に分けて容器に入れますが、同様に25回突っつきます。

続いて「試験結果の許容差等」について

1. 外気温
25℃未満
25℃以上

で、扱いが違ってきます。

○コンクリート練混ぜから打込み終了までの時間の限度
25℃未満の時:120分
25℃以上の時:90分

打ち重ねるコンクリートとの時間間隔の限度
25℃未満の時:150分
25℃以上の時:120分

《例外-1》
高強度コンクリート
外気温に関わらず練り混ぜから打設終了まで120分です。

《例外-2》
流動化コンクリート
荷卸しから打設終了までの時間の限度
25℃未満の時:30分
25℃以上の時:20分
(流動化コンクリートは、工事現場に到着したコンクリート運搬車に流動化剤を投入して撹拌するので「荷卸しから」という表現になります)

2. コンクリート温度
寒中コンクリート
10℃~20℃とします。
ただし、打設後に十分な水和熱が見込まれる時は5℃以上とすることが出来ます。

暑中コンクリート
35℃以下とします。

3. 塩化物量試験
0.30kg/m³以下
と覚えておきましょう。

4. スランプ試験
建築現場でよく使うのは
スランプ18cm ±2.5cmまでOK です。
これを基本にして、以下を覚えます。

スランプ:8cm未満 ⇒ ±1.5cm
スランプ:8cm以上18cm以下 ⇒ ±2.5cm(←これが基本)
スランプ:18cmを超える ⇒ ±1.5cm
※ただし,調合管理強度27N/m㎡以上で,高性能AE減水剤を使用する場合のスランプの許容差は±2cmとする(過去問で出題されました)

5. 空気量試験
4.5% ±1.5%
が基本です。
スランプの±2.5cmとごっちゃにしないように。

6. 圧縮強度試験
現場で打設したコンクリートが期待通りの強度を発現するかどうかを確認するために、供試体(テストピース)を採取します。
ミキサー車から荷卸ししたコンクリートを金型に詰めて作成します。

供試体の本数は、図に書くと理解しやすいです。
普通コンクリート
150m³毎に1回 3台の車両から1本ずつ採取します。

高強度コンクリート
300m³毎に3回 3台の車両から3本ずつ採取します。

何故3台から採取するのかと言うと、採取した供試体は試験室に持っていって破壊試験をするのですが、一発勝負ではなく、3回の試験の平均値を取るからです。

【運搬・打設計画】

大昔は、現場にバッチャープラントを建ててセメントやら骨材やらをぶっこんで練り混ぜて打設してたらしいですが、今どきは生コン工場でキチンと管理されたコンクリートを持ってきてもらいますね。
既に混ぜられたって意味で「レディ・ミクスト・コンクリート」って言います。

施工者(ゼネコン等)は大抵、商社と契約しますが、その商社が生コン工場を振り分けます。
現場から近ければ近いほどいいのですが、条件的にそうも行かないのが現実です。
それでも「夏場は何分(冬場は何分)以内に打設しないとダメ」って規定があるので、遠すぎるのはいけません。
現場までの経路図などから交渉して決定します。打設完了までの時間等は、上記「1. 外気温」を参照してください。

あと、1フロアは1日で打設したくても、どうがんばっても無理なことがあります。
作業時間とか、生コン車(コンクリートミキサー車)の寄り付きが狭いとか。
そういう時は「打継ぎ」を設定しないといけません。
まさか柱や壁を水平に打継ごうって思わないですよね。
そうすると、垂直に打継ぎになるわけですが、じゃあどこ?ってなります。
そんな時は「真ん中」または「端から1/4のところ」です。
ここが「せん断力」が小さいところだからです。

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(↑ コンクリート打ち継ぎ:端から1/4)

打設中の注意事項に話が飛びますが、ミキサー車から直接型枠に打設することは、ほとんどなくて、大体ポンプ車を経由します。
ポンプ車の「ホッパー」という所にコンクリートを流し込んで、ポンプ車が油圧とかでコンクリートを圧送します。

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配管の中は最初は当然乾いた状態なので、いきなりコンクリートを送ってもスムーズに圧送できません。
そこでまず「水」をちょろっと入れます。
続いて「モルタル」を少し入れます。
「モルタル」とはコンクリートの骨材なしです。
骨材がないので、通りやすいです。
こうして配管の中に膜を張り、コンクリートが流れやすくするわけです。
この「モルタル」はその時に打設するコンクリートの「調合管理強度」と同等以上の強度が期待できるもの(富調合)とします。
(貧調合、と出題されたら間違いですのでよく確認しましょう)
筒先から出てくる最初の「モルタル」は、その前に入れた「水」と混ざって出てくるので、強度は期待できません。
ですから、容器など(左官フネなど)で受けて廃棄します。
「富調合」のモルタルが確認できたら、それは分散して躯体に打ち込んでも大丈夫です。
もちろん全部廃棄してもOKです。

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(↑ 廃棄したモルタル)

ついでにもう一つ。
バイブレーターってご存知ですか?
試験では「コンクリート棒形振動機」という名前です。
コンクリートはミキサー車から降ろす前によ~く攪拌されますが、
そこから更にポンプ車を経由するので、筒先から出たコンクリートを加振して均質にする必要があります。
そのための道具です。
特にスラブ上では、60cm以内で垂直に突っ込むという規定があります。
スラブ筋は大抵20cmピッチで配筋されてるので、マス1個飛ばしって覚えればいいと思います。
さらに、コンクリートにはいろんな物が混ざってるので、放っておくと表面がガタガタのまま固まってしまいます。
そうならないように、左官工がコテで表面(天端(てんば))を均して仕上げます。
この時に、バイブレーターでの加振や「タンピング」が不十分だと、表面にひび割れが出来ることがあります。
このひび割れは試験では「プラスチック収縮ひび割れ」って名前で出題されます。
防止対策としては、表面が硬化する前に「タンピング」して均せばOK。
硬化してしまったら、削って補修するしかないので大変です。
「タンピング」っていうのは「タンパー」って言う道具(トンボの先っぽがカンジキみたいなやつ)でコンクリート表面を叩いて、締め固めることです。
余分な空気や水分を強制的に排除できるので、コンクリート表面の沈下防止などが期待できます。

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(↑ コンクリート打設状況)

【養生期間】

普通コンクリートの養生期間は以下の通りで、計画供用期間によって違います。
標準:5日間以上
長期:7日間以上

今回は以上になります。
説明した以外の過去問も一通り解いてみてください。
過去問で出題された数値は最低限押さえるようにすれば得点できるはずです。
完全な新問なんかが出題された時は、誰も解けないので合否に影響しないと割り切りましょう。

最後までお付き合い頂き、ありがとうございます!

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