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躯体工事ー1

はじめに

躯体工事の一大イベントと言えば·····
『コンクリート打設』
てことで、現場にお邪魔してきました。

なぜ《一大イベント》なんでしょうか?

理由ー1
 多くの職種が寄って集って準備した作業の集大成であって、当日も複数の業者が協力して行う作業だから

理由ー2
 コンクリートは固まってしまったら、やり直しがきかないから

他にもあるでしょうが、とりあえずこんなところです。

理由ー1

理由ー1からちょっと掘り下げてみましょう。
 多くの職種。まず思い付くのは、鉄筋工事、型枠工事でしょうか。

それ以外にも、電気工事、給排水工事、空調衛生工事も関わります。どういった所かと言うと、躯体スラブに配管を予め打ち込んだり、配管を梁に貫通させるためにボイドと呼ばれる配管より少し大きいパイプを打ち込んだりします。

これらはコンクリート打設後にやろうとすると、コンクリートを斫ったり(ハツルと読み、コンクリートを削ること)コア抜き(壁や梁に丸い穴を開けること)をしなければなりません。

斫り、コア抜きは基本的にやってはいけません。
何故でしょうか?
斫ると、鉄筋がコンクリートから出てきちゃう。出て来ないまでも、コンクリートが薄くなっちゃう。

鉄筋って、その辺に放ったらかしにしとくと、錆び錆びになるんですよね。でも、コンクリートにしっかり覆われていると、全然錆びないんです。
それは、コンクリートがアルカリ性だから。
鉄筋を覆うコンクリートが薄くなると、鉄筋が守られなくなって、鉄筋が錆びて爆裂してしまいます。
そんなことにならないように、キチンとコンクリートの厚さを確保したいってことです。

んじゃコア抜きは?
施工図の段階でそこに穴を開ける事が決まっていれば、ちゃんと鉄筋は避けるし、必要に応じて補強の鉄筋を入れることも出来ます。
でも、その準備をしていなければ、切ってはいけない鉄筋を切ってしまったり、切らなかったとしても、コンクリートの厚さが足らなくなったりします。

さっきからコンクリートの厚さって言ってますが、これがいわゆる『かぶり』です。
鉄筋コンクリート造で最も重要な管理項目の一つが、この『かぶり』です。理由は前述の通りです。

ちょっと話がそれちゃいましたね。
要は、図面検討から打設準備まで、めっちゃ手間がかかってるので失敗出来ないっちゅうわけです。

理由ー2

では、理由ー2について。
やり直しがきかなくて困ること。それは、打設したコンクリートが注文した品質になっているかどうか、パッと見で分からないこと。それから、途中でやめられないこと。変な打ち継ぎはコールドジョイントって言って、弱点になっちゃいます。

コンクリートはいろいろ混ぜ込んでますが、大体ご存知でしょうか?
セメント、粗骨材(石を砕いたもの)、細骨材(砂)、水、空気、その他(減水剤、硬化剤など)ですね。

これらの配合の割合で固まったコンクリートの性能が決まります。また、固まる前の作業性(ワーカビリチーなんて言いますね)にも影響します。固すぎると細かい所まで入っていかない、とかね。

こういった配合は一般的にはコンクリート工場(コンクリートプラント)でキチンと計量されて、コンクリートミキサー車で現場に運び込まれます。

コンクリート受入れ検査

現場では受入れ検査と称して、いくつかの試験をします。
スランプ、空気量、フロー値、単位水量、塩化物量、コンクリート温度あたりかな。
それから、円柱形の筒にコンクリートを詰めてテストピース(試験体)を作って、2日後、1週間後、4週間後に破壊試験をします。
このようにして、品質を管理します。

画像1

これは実際に現場で撮ってきた写真です。
どれが何だか分かりますか?
左から
○塩化物量試験
○空気量測定
○スランプ及びフロー値測定
○テストピース
となります。

今回のコンクリートの配合は【27ー15ー20N】空気量4.5%です。
呼び強度=27
スランプ=15
砕骨材の最大寸法=20
セメントの種類=N(普通ポルトランドセメント)
と読みます。
この時のそれぞれの規定値は覚えていますか?

○塩化物量:0.3kg/m3以下
○空気量:±1.5%
○スランプ:±2.5cm(ただし、27N/mm2以上でで高性能AE減水剤を使用する場合は±2cm←これは過去問参照してくださいね)
○テストピース:採取の仕方はどんな規定でしたっけ?

テキストを見ると
『適切な間隔を開けた3台の運搬車から1個ずつ採取し、合計3個の供試体を作成する』
と書いてます。
これ、他人に説明できますか?
この写真では9本の容器が用意してあって、現在3本の供試体を採取したところです。
この3本をどう使うのか····

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