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土工事 · 土留工事

今回は、土いじりのお話です。

掘削する前に···

建物を建てようと思ったら、まず基礎を構築しないといけませんね。
通常、基礎は地中に納めますので土を掘る作業から入ります。
掘るって言っても、広~い敷地の真ん中に工場をポツンと建てるのと、街中の狭い敷地でマンションを造るのとでは条件が全く違ってきます。
土を掘った時に周囲にどれだけ影響が及ぶのかを考慮しないといけないわけです。
敷地の形状、掘削する深さ、土の性質等の情報をかき集めて検討します。

土留工法の決定

集められた情報を元に土留めの工法を決定します。
土留めの種類と特徴をおさらいしましょう。

そもそも土留が必要かどうかを検証します。

①土留が不要の場合

A : オープンカット工法
 ⇒掘削した面を『法面(のりめん)』と言いますが、この法面を斜めにして崩れないようにする工法です。
イメージを描くとこんな感じです。
ちなみに読み方は以下の通り。
法肩(のりかた)
法尻(のりじり)
掘削床(くっさくどこ)
法面を斜めにする分、敷地に余裕が必要ですね。

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②土留が必要な場合

B : 親杭横矢板工法(おやぐいよこやいた)
 ⇒まず親杭(H鋼)を@約1.0mで打設します。掘削しながら親杭の隙間に『矢板』を横向きに入れ込んでいきます。

画像2

この写真がまさに施工状況になります。
手前ではバックホーで掘削していて、その奥で職人さんが矢板を入れています。
掘削する深さと地盤条件によっては、親杭が自立出来ます。つまりつっかえ棒が要りません。このつっかえ棒の事を『切梁(きりばり)』って言います。切梁支柱とは別物なので覚えておいて下さいね。

画像3

切梁式にしたくないけど(切梁って見るからに邪魔でしょ)、自立式では持たないって時には、土留壁を後ろから引っ張る工法もあります。
『アースアンカー』とか『グラウンドアンカー』とか言います。

この現場は掘削床が2.7mくらいで自立式で成立出来たので、下の写真みたいな形で土留壁が完成してます。

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C : 地中連続壁(SMW工法)
 ⇒コンクリートを打設して土留壁を造っちゃいます。コンクリートだけじゃなくて、一定の間隔でH鋼も建て込みます。親杭みたいなもんです。
コンクリートの壁なので、止水性が抜群です。
お高いので、地下水位が高いところ等で採用されます。

D : 鋼矢板工法(シートパイル)
 ⇒鉄板をぶっ刺します。押すだけではなかなか入っていかないので、振動を与えながら押し込んでいきます。こちらも鉄板だけに止水性は高いです。地下工事が終わったら、そのまま存置する場合と、引き抜く場合があります。
引き抜くと鉄板の厚み分の隙間が出来るので、砂とかで埋めます。
この埋め戻しは、小まめに行います。
引き抜きを優先して、埋め戻しを後回しにすると、その間に周囲の地盤が緩んで、下手をすると地盤沈下なんて事になりかねません。

排水計画

最後に排水計画のお話をしましょう。
この現場は地盤調査の結果、地下水位が基礎底よりも低かったため、親杭横矢板工法を採用したわけですが·····
下の写真を見てください。

画像5

水が溜まってますね。
「不思議~!!」って思いましたか?

····これね、雨なんです。
掘削工事って、周りより必ず低くなりますよね。だから排水処理は必須なんですよ。
排水の工法、いくつか挙げられますか?
A : 釜場工法
 ⇒この現場みたいに、水位が低くて雨水だけ処理すればいい場合や、例え水位が高くても、それほどじゃんじゃん地下水が沸いてこない場合に採用します。
ちょっと脱線しますが、水が沸いてこない条件って何だと思いますか?
それは、透水係数が低い(水を通しにくい)場合です。
砂質土の中では、粒径が小さいほど透水係数は低い(水を通しにくい)です。
砂質土で透水係数を調査するのは、こういった意味があります。
ちなみに、粘土質は水を通しませんし、礫(れき=石ころ)は水を通しやすいです。

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