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プロセスエコノミー

皆様こんにちは。京都の手作り時計店DEDEGUMO(デデグモ)です。
今回は先日ツイッターで目にした記事を読んでとても納得したことがありましたのでお話ししたいと思います。

最近、私も利用している作業風景をライブ配信できる「フォーゼロスタジオ」のけんすうさんがインタビューされている記事です。
上記リンク先にこの記事の動画(Abema TV)も見ることができてより分かりやすいので是非ご覧になってみて下さい。

製品が作られる過程を見たり知ったりすることを通じて作者の思いや努力に価値を見出し、お金を払うという「プロセスエコノミー」。
名付け親の起業家・“けんすう”こと古川健介さんは「従来のように“完成形”でマネタイズするのではなく、お客さんを“プロセス”から巻き込み、悩み事、つまずきなども共有することで共感してもらうということだ。場合によっては“プロセス”そのものでマネタイズすることができるので、そこで得た資金を物作りや生活費に充てることもできると思う」と話す。

【プロセスエコノミーのメリット】
クリエーター
・商品だけでなく製作者のファンを作れる
・無名でも作品の認知につながりやすい
・収益化できると、作品作りにお金をかけられる
消費者
・商品を選ぶ際の差別化になる
・成功を学べる場になる

アクセサリーの個人作家さんでもインスタライブされてるかたも多いですね。制作風景が見られるとより作品の魅力が増しますし、作品のファンからしたらとても嬉しい配信だと思います。

ただ、インスタもYouTubeライブも配信自体がどれも完成されていて、製作者として同じような配信をするのはなかなか敷居が高い気がしました。
でもけんすうさんの「フォーゼロスタジオ」さんは、そこまで作りこまなくてもゆるーく配信しても許してもらえる雰囲気があって(というか私が勝手にそう思っているだけかもしれませんが)私も安心して少しずつ配信をこなしています。
制作に夢中になってしまったときも配信30分すぎると応援BOTさんから30分経過のお知らせと休憩や水分も取ってくださいねとコメントももらえるんですよ。

個人作家さんにとってプロセスエコノミーはこれから本当に大切になってくる気がします。

私も好きな作品があったら一体どんな方が作ってるんだろう、絵ならどんなアーティストさんが描いてるんだろうと興味を持ちます。長年自分もモノ作りをしてきたからか、作品の裏側や作家さんのことがとても気になるのです。映画もBehind the scenesを見るのが大好き。「ゲーム・オブ・スローンズ」のシーズンごとの制作背景の動画は何度も何度も見ていました。

少し前までは、好きな作家さんの展覧会があればご本人在廊日に北海道から九州まで遠征していました。
ああ、そうですね、今はまだ人々がなかなか遠征が出来ない世の中ですから作家さんはリアルな展覧会と同じぐらいインターネットで作品の魅力を伝えるすべを一層考えていかなければいけないのかも知れません。


上記記事の「プロセス自体のマネタイズ」はコンテンツによるかもしれませんが、ファンを増やすという意味では作業配信はとてもよい手段だと思います。
作家さんはおしゃべりが苦手という方も居るかもしれませんが、フォーゼロスタジオさんでは音声なしでも配信ができますし、チャットで視聴者さんと交流もできます。
私はDEDEGUMOで働く前は立体造形作家でした。カルチャースクールの講師をしていたこともあるので本来はお話好きです。(配信ではあまり活かせていませんが。)時計職人ではないので、いまのところアクセやパソコンでのデザイン作業の配信になっていますが、これからは時計制作の配信もしていきたいなと考えています。時計制作配信するときは、撮影側になり自分で制作しない分客観的になれて職人さんに色々インタビューできそうですね。

時計制作に関しては、8/20スタートのクラウドファンディングも近いので今週アニバーサリーウォッチの組み立て動画を撮る予定です。これはライブ配信できるかわかりませんが、組み立て工程を動画にしてDEDEGUMOのYouTubeにアップ予定です。クラファンページにも作業工程を掲載してアニバーサリーウォッチの魅力を伝えられるようにしたいと思います。


記事の中でけんすうさんが下記のようにおっしゃっています。

「例えば原価100円のハンドメイド作品が1万円で売られていたりするのを見て、消費者の中には“ぼったくりだ”と言う人もいる。しかし『00:00Studio』でそのプロセスを見ると、むしろ“なんでこんなに安いの?”と思うぐらいの時間と手間をかけていたりすることが分かる。アウトプットの値段が同じでも、プロセスを知っているかいないかで値段に対する消費者の感じ方は全く変わってくる

これはまさに作品のストーリーを伝えきれているかどうかということだと思うんですよね。

お店で時計が売られていたとすると、購入に至る判断というのは人それぞれ重視するものが違います。
・機能性
・価格
・デザイン性
DEDEGUMOの時計は、機能性でいうとスマートウォッチにはかないません。価格についても今や100均でも時計が買えますし、逆に高級時計は投資になりますので、うちの時計はどちらでもなくファストファッション主流の現代ではちょっと高めに感じてしまうかもしれません。

デザイン性。これはうちが努力して目指しているところです。
デザインが個性的で今まで見たことがないユニークなもので、さらにその時計とその作り手のBehind the scenesがあれば機能性や価格よりも価値を見出してもらえるかもしれません。


ここ数年、うちはどうしたら良いブランディングが出来るのかということを考えたりご協力いただくクリエーターさんと話していました。
かっこいいプロモーションビデオも作りました。
写真も時計のイメージをとても大切にしています。
ただこれは本当に大手の洗練された作品ストーリーには敵わずで、ずっと限界のようなものを感じていたんですね。

そうして悩んでいた数年後、時代は変化して今インスタも映えより自然体を見せることが魅力とされるように変わってきました。
作りこまれた完璧なものが溢れると人は違うものに価値を求めるのですね。
AbemaTVの後半で言っていましたが、今若者の価値観が「あえてひと手間」をかけることが魅力に感じているとの事で、ものつくりの背景を知ることもこうした新しい価値観に沿ったものなのではないかと思います。

なので、うちは背伸びしてかっこいいブランディングをするよりもプロセスエコノミーで普段のDEDEGUMOを皆さんに知っていただければいいのかな、と思いました。


ではプロセスエコノミーの普及の上での課題とは?

多くの人が参入することで、埋もれてしまう方も当然出てくる。そこは作りながらトークをするとか、カメラワークを工夫するとか、お客さんが楽しめるような差別化をしなければならないタイミングがすぐにやってくると思う。一方で、過程の見せ方が過激になっていったり、期待感を煽り過ぎて失敗したりする人も絶対出てくるだろうし、過程を見せすぎることで、中国企業が真似をし、先に製品を出されちゃうみたいなことも海外のクラウドファンディングでは起きている。

作業配信、始めるなら「今」ですね!
いま試行錯誤しながらも努力して続けていけば、プロセスエコノミーが主流になるころには内容的にも皆さんに楽しんでもらえる配信が出来ているかも!
けんすうさんがおっしゃているように作っているところを見せすぎるとパクられますが。(実際にありました・・・)
でもそういうことも恐れず、作家さんは自分の作品は自信をもってどんどん配信すべきなのかも知れません。
真似する人の作品はしょせん真似でしかありません。
それにストーリーを知っているファンの方は模倣品を見て「これはあの作家さんの真似じゃないか」ときちんと理解してくださっています。

そうそう、今言っておきます。
アニバーサリーウォッチの針はDEDEGUMOのアイデアです。
同じ針が出てきたらうちを思い出していただけたらいいなと思います。

小さく言っておくと、キネティックアートウォッチの機構もうちオリジナルなんですが。残念ながら今は模倣品色々出回ってしまっているという現実もあります。


けんすうさんが過去にプロセスエコノミーのことについて書かれたnoteがありますのでこれもご覧ください。


ということで今週末も配信やりたいと思います!
お時間ありましたら是非ご覧ください。(アーカイブもあります。)




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