見出し画像

ありそうでないインパクトの話

よくインパクトのあるデザインを…とか、
もっとインパクトが欲しいなあ…とか。。。
言われませんか?

私はあります。
さるお役所のデザインコンテスト募集リーフ作成の案件。ビジュアル的に迫力のあるタイポ案とモノクロ写真を活かした渋めの案の2案を出した。
意図としては応募者に対して、
応募作品を脅かさない…でも最低このラインはやれよといったところだった。

そしてそれらに対して、お役所担当者の最初の評価は、タイポ案については「どっかで見たことある!」
(知らんがな~。あんたが見たことも無いモンなんてオレにわかるか!)
写真案は「インパクトに欠ける!」だった。
結果「もっとインパクトのあるものを!」ということで再度作成…。

インパクトというのは便利な言葉で、
「どんな方面のインパクトや?」と聞いても
「迫力のあるとか、破壊力のあるとか…」
必ず具体的な話にならない。
なにせ指示側は「インパクト」と言った時点で
何か通じてる感を感じてしまうのだ。
なのでいつも作る方は泣き寝入りになる。


そうか、そうか。
それほどインパクトが欲しいんやな…
ちょっと頭にきて、また2案作る。

1案は「黄と黒使い」で簡単に色で眼を引く案。
これぞインパクト!だ。
ちょっとキルビルみたいだけど、まあいい。

もう1案は、全面タイポで中心に穴を空けてみた。
トムソンで実際に抜いてしまうのである。
画面の真ん中に大穴が空いたリーフレット…
実際に置いてあれば目を引くとは思うが、
ネタ的に別に珍しくもなんとも無い方法である。

ただ…
お役所の一般的な担当者が想像する範囲のインパクトから少しだけ外側にあると思ってる。
(これはまったくの勘)

そう…担当者の想定するもののちょっとだけ外側を見せれば、インパクトがあると言うことに…割となる。と、思う。
語尾が弱気なのは、過去の打率が低いためだ。
ま、ここはご愛嬌。。

で、最終的に決まったのが、
最初に出した写真案だった。。
トムソン代がかかるというのが表向きの理由だが
「黄と黒」も「真ん中に大穴」もお役所的には
刺激が強すぎ…という担当者レベルの判断だった。

まあ、「インパクト」とか言い出した時点で
結論は見えてるのだけど、
あまりに想像通りだったので笑ってしまった。

最初の案
→インパクトがない!

次の想定を超える案
→あ、そこまでやると上がなんというか…

最初の案に戻る

お役所案件プロレスの簡易版みたいなもんです。


結局は「インパクトという言葉を持ち出す人は
まったく逆のものを選ぶ」という持論に
またひとつ裏づけができてしまった。。
なにやってんだかなぁ

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?