暗号資産市場は大幅下落、5月米CPIは40年ぶりの伸び!天井の見えぬインフレ観測に、さらなる金融引き締めか!?
前週からの動向
週末から暗号資産市場は急落し、BTC(ビットコイン)は現在300万円割れの水準となっている。ドルベースでは22,000ドルを下回っており、2020年末以来の安値となっている。
安値圏でのレンジの中でもなんとか30,000ドル前後を保っていたように見えたビットコイン価格も10日に発表された米CPI(消費者物価指数)の結果によって、さらなる金融引き締めが進むとの思惑から大量に売りこまれることとなった。
米国の金融引き締めについては、6月7月と2度の0.5%の利上げが行われるとの見方が大多数となっており、そこまでは市場に織り込み済みのように思われていた。
しかし、今回発表されたCPIでは前年同月比で+8.6%となり、市場予想を上回る40年ぶりの伸びとなったことで、今後のFOMCで0.75%の利上げに予想を修正するアナリストも出てきている。中には1%の利上げの可能性まで囁かれ始めた。
天井の見えないインフレ動向を受け、高まるリスクオフムードにより売り先行の相場となった。また、抵抗ラインとして見られていた30,000ドル近辺を明確に下抜けたことで、逆指値の売りや、ロスカットにより売りが売りを呼び、短期間での大幅な下落につながったと考えられる。
また暗号資産レンディングサービスのセルシウス(Celsius)の一時出金と送金が停止になったことや、米SEC(証券取引委員会)がバイナンスに対して調査を開始したとの報道が流れるなど、暗号資産市場に逆風となるニュースが相次いでいる。
多くの暗号資産がビットコインと同様に下落したが、主要銘柄ではETH(イーサリアム)の下落が目立った。
10日にイーサリアム開発チームから難易度爆弾(ディフィカルティボム)の発動を延期させるとの発表があった。発動は過去に5回も延期されているが、昨今の弱気相場に加え、マイニング勢による莫大なエネルギー消費が問題視されている中の延期となったので、PoS(プルーフオブステーク)移行の不透明感はネガティブ要素となったのではないだろうか。一部の交換所ではクジラ(大口投資家)による巨額の売りにより、一時950ドルの安値まで下落したとの観測もあった。
いったんは下げ止まっており、短期的な値戻しは発生するかもしれないが、上昇相場となるにはしばらく時間がかかりそうな様子といえるだろう。
暴落したから安易に買い判断をするのではなく、暗号資産に関する様々な報道が頻出する今だからこそ、正しい情報の見極めが肝心だ。
筆者:齊藤成芳
参照:Bitcoin日本語情報サイト
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