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「私とふるいモノたち」ロンドンでの出会い [Steingerg and Tolkien ]

緊急事態宣言で臨時休業中のデコパージュです。今まで何ヶ月か先まで予定が詰まっていて、目の前のやるべきことに追われてあまり昔を振り返ることがなかったのですが、時間ができると懐かしいアレコレを思い出すことが増えました。お客様たちが興味があるかは分からないのですが、「私とふるいモノ」のよもや話を忘備録も兼ねて書こうと思います。今日は「ロンドンでの出会い」について。

1996年ロンドン。大学で美学(芸術学みたいなもの)を専攻していた私は、当時イギリスで人気だった現代アートを追いかけてロンドン大学ゴールドスミスにアートヒストリーを勉強しに留学しました。大学はロンドン南東部にあり、バスで10分ほど揺られるとグリニッジ天文台があり、毎週蚤の市が開かれていました。

物価の高いロンドンで、蚤の市は日用品やお気に入りが安く買える学生の味方でした。古いものを受け継いでいって、自分たちの新しいライフスタイルに取り入れていく文化がありました。1000円以下で買える古着や古道具、アクセサリー、変な雑貨など蚤の市で見つけては寮に連れて帰っていました。

ロンドンでの生活も慣れつつあったある日、日本から家族が会いにやってきました。母がアンティークショップに行きたいと言うので、普段の蚤の市とは違う本格的なお店を調べて連れて行きました。

まず向かったのは、ロンドンのチェルシー、キングスロードにあった「Steinberg and Tolkien 」でした。それまで蚤の市でジャンク中心に親しんできたモノとは違い、1930年代から70年代のデザイナーのビンテージ古着やコスチュームジュエリー、プラスチックバッグ、アンティークジュエリーなどが2フロアにギッシリと並んでいました。

学生には到底買えない価格のものばかりでしたが、今では手に入らない貴重なものに素晴らしい価値があるという世界を教えてくれたお店でした。1つ1つの商品に歴史とストーリーがあったのです。そして、同じようなものが蚤の市て安くあっても、このお店に選ばれて大切に並べられているものたちは魔法をかけられて輝いているように思えました。

蚤の市で出会う、なんてことないけれど愛しいふるいモノたちに慣れていたので、根拠をもって集められ店内に並べられた古いモノたちはまるで美術館のようで、当時のわたしには新鮮だったのです。

お店を始めてからも、勉強を兼ねて時々足を運んでいましたが、2007年に家賃が高騰して閉店してしまいとても残念でした。今思えば、あの頃、色んなアンティークやビンテージのショップやマーケットがなくなってしまった時期だったのだと思います。

すごく昔からある老舗だと思っていたのですが、調べてみると1994年に開店したそうで、私が初めて行ったのは1996年だったので、まだ最初の頃だったようです。 

インターネット上でこんな写真を見つけました。オーナーのsteinbergさんとスタッフの皆さんだそうです。閉店直前の写真みたいで、お店の世界観が伝わります。

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