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どれも同じに見えて、違う。

昨日は雨だった。

霜月の空気と冷たく降りかかる水は氷柱ほどの鋭さは持ち得ないが、それでもじわじわと芯まで蔓延っていく。

一枚の鼠色の雲が空を覆っている。
地に広がる荒川も同じく鼠色をしている。

どんよりとしているが荒々しさはない。
まるで枯山水のような落ち着いて品のある佇まいだ。

それを電車の窓からじっと見つめる。
中はグレーや黒の衣服を纏った人たちで満杯だ。
湿った目と漂う陰気臭さからその日が金曜日であることを悟る。


今日の空は雲一つ見当たらない。
爽やかな青色に赤や黄色の木の葉が良く映える。

荒川もキラキラと陽射しを反射させて精気漲る様子だ。

それを今日も電車の窓から覗く。
中はスマホに釘付けの首を前に垂らした人達で沢山だ。(スマホばっかり見ている人を中国語で‘低頭族’という。私はこの言葉にある種デカダン的な気配が感じられて中々に好きである。)
それでも空気が軽く感じるのは快晴だからか、土曜日だからか。


荒川にどっしりとした鉄橋が構えている。
屈強な鉄骨は幾つも並んで架かっている。

私たちはこれらが無ければ川も渡ることが出来ない。
先代が開拓した道を辿ることで無傷でいられる。


少しすると同じ方向に向かって回送列車が走っていくのが見えた。
すっからかんの鉄の塊はかなり身軽そうに颯爽と駆けていく。
対して我々を載せている方は「エッチラ、オッチラ」といった模様である。

休日も休みなく走る。
尊敬の心を持ってお疲れ様と呟いた。

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