360度評価とは?導入のメリットとデメリット
近年多くの企業が取り入れている360度評価についてご存じでしょうか。注目されている背景や、導入する際のメリット、デメリットをまとめました。
目次
1.360度評価とは
2.360度評価が注目されている背景
3.導入のメリット
4.導入のデメリット
5.デメリットの解消方法
6.まとめ
1.360度評価とは
一般的な人事評価では、上司が評価者になります。しかし、360度評価では上司だけではなく部下や同僚など立場の異なる従業員が評価者を多角的に評価する制度です。上司からのみ評価される一般的な制度と比べて公平で客観的な評価が得られやすいことから、評価対象が納得しやすいのが特徴です。
2.360度評価が注目されている背景
360度評価は、人事制度の多様化や働き方の多様化により注目されてきました。従来の終身雇用制度や年功序列制度の崩壊により、企業は制度を改めました。また、新型コロナウイルスの感染拡大の影響や働き方改革も進み、多くの企業が柔軟性の高い働き方を導入しました。その中の一つであるリモートワークでは従来のオフィスワークと比べ、他の従業員とのコミュニケーションが取りにくい働き方です。従来の評価制度だけでは何を基準に評価されたのか納得できずに社員のモチベーションを下げてしまうことも考えられます。このような環境下のため上司のみの評価ではなく、様々な立場の従業員による多角的な評価制度が注目されています。
3.導入のメリット
360度評価が注目されている背景からもわかるように様々なメリットがあるのでまとめました。
①客観的な評価が可能
従来の上司のみの評価では、主観が入りやすいという欠点がありました。また常 に部下を見ているわけではないという問題もありました。しかし異なる立場の複数の従業員が評価することでより公平で客観的な物になります。
②評価への納得
複数人が評価することで公平性や客観性が上がります。評価の中には被評価者にとってマイナスなものもありますが、異なる立場の複数人に指摘されることで納得する可能性が高まります。
③改善点を見つけやすい
360度評価では、自身でも評価を行います。この作業により、他者からの評価と自身の評価を比較し、気づいていなかった改善点に気づき、修正することができるようになります。
④上司が気づかない面の評価が可能
従来の評価では上司のみの評価であったが、上司から見えない面は多数あります。部下からの視点、同僚からの視点を評価に組み込むことで新たな発見も可能になります。
⑤管理職の育成に繋がる
上司のみが評価する制度では、一定の役職がつかなければ評価者になることはありませんでした。しかし360度評価を導入することで多くの従業員が評価者になります。評価者になることで管理職側の視点を持つことができます。また上司も被評価者になることで部下の不満にも気づきやすくなります。これらを改善しようとすることでさらに優れた管理職へと成長していきます。
4.デメリットと改善方法
360度評価のメリットについて触れてきましたが、同時に多くのデメリットもあります。導入の際には以下に注意が必要です。
①工数がかかる
従来の制度では上司のみが行う作業でした。しかし360度評価では全従業員に負担が発生します。また多くの評価をチェックする立場にいる管理職にはさらなる負担がかかります。これらにより通常の業務にも支障をきたす可能性があることを意識しなければなりません。
②主観が入りやすい
複数の従業員が評価することで客観的な評価になることが魅力の制度でしたが、一方で従業員の主観が入りやすいという欠点もあります。評価者になったことのない従業員が人事評価をすると主観が入りやすくなってしまいます。仲の良い従業員には甘い評価をし、苦手意識のある従業員には厳しい評価をしがちです。
③評価を意識した指導に陥る
部下が上司を評価できるようになると、その評価を気にして部下への指導が甘くなってしまう可能性があります。厳しい指導が必要な場面で中途半端な指導をしてしまうことは人材育成や組織力の向上に大きな影響を及ぼしてしまいます。
4.デメリットの解消方法
上記で多くのデメリットを紹介しました。これらのデメリットを解消するための方法をまとめたので、導入する際には以下を参考にしてみてください。
①導入の目的を共有する
始めにするべきなのは目的の共有です。360度評価は公平かつ客観的な人事評価に加え、人材育成の手段として導入されています。これらの目的の共有を経営層や役職者だけではなく、一般の従業員にも共有することで誤った評価をしてしまうことが大きく減ります。
②評価項目を限定する
評価をすることになれていない従業員も評価者になるのが360度評価です。そういった社員に対しては評価項目を限定することで特定の社員や上司に対して主観的な評価をしてしまうことが減ります。また評価項目を限定することで評価者や、それをチェックする管理職の作業量も大幅に減らすことができます。
③評価基準を明確にする
評価基準を明確にしておかなければ、適切な評価が行えないことや後から不満が出てくること、評価をどのように受け止めていいのかわからないというような事態に陥ってしまいます。あらかじめ、どんな項目がどのように評価されるのか明確にしておくことが大切です。
5.まとめ
近年注目されている360度評価のメリット、デメリットや解消方法についてまとめてみました。コロナウイルスによる影響や働き方の多様化により、人事制度の見直しが多くの企業で行われています。この機会に、自社をより良い企業にするため評価制度を見直してみてはいかがでしょうか。