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菩提心の称賛《宝珠の灯》第318偈

318)月、竜脳、白檀を
一方向に集めたように、
煩悩の苦悩を取り除く
この菩提心は、とても涼やかだ。


「竜脳」とは生薬の一種で、
極寒性の高級な宗教用薫香料。
頭痛や歯痛、
気付け薬等に使われているそうだ。
樟脳のような香りがするらしい。

「白檀」も性涼の生薬として
慢性となった肺の熱疾患を治し、
肌に塗れば熱を冷ましてくれるという。

「月」は日中の熱苦から
われわれを救ってくれる。


煩悩から起こる苦しみは
心を焼く。

内側の燃え盛る炎は
外から涼しい風を受けても
薬で体内から冷ましても
消えることはない。


心の火事には
心の消防車。

皆を幸せにする為に
この煩悶に向き合わなければならない
という覚悟と、

自心の煩悩と感情を
客観的に見て正しく把握する知性と、

それに対処する
愛情、慈悲、知恵、智慧の
涼やかな水を使って、

その都度火事を消していく。


するといつか涼しく晴れて、
サイレンを聞かなくても良い日が
やってくる。


それにしても、
クヌラマリンポチェの知識は幅広い。

龍樹も医薬や施政について
論書を残しているそうだが、

広く学問を修めた著者の記す文章は
何気なく深い。

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