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菩提心の称賛《宝珠の灯》第108偈

108)春にカッコウがさえずる旋律は、
耳を持つ者が喜ぶ吉祥である。
王者の息子の菩提心は、
身体を持つ者全ての福利の吉祥である。
 
 

「王者(仏陀)の息子」とは菩薩のこと。
 
日本人にとって、春を知らせてくれる小鳥の鳴き声は、
鶯の声のような気がするが、
インドやチベットでは、
カッコウが春を告げる鳥であるらしい。
 
カッコウの鳴き声自体も心地良いものであろうが、
その声を聞くと、
今までの厳しい冬が終わり、
全てが生き生きと輝きだす春がやって来たという思いから、
ことさら耳に快く響くのだろう。
 
身体を持つ者とは、
この世界で肉体をもって生きているものである。
 
身体がある時点で、既に生老病死とともにあるけれど、
他者にとっての利益は、この身体があるからこそ行うことができる。
 
信仰の無い、フツーの人間の親切な行いでもそうなのだから、
信をもって他者のためになろうと真剣に誓った菩薩の行いは、
より多くの生きものの利益を成し遂げるに違いない。
 
「幸せをもたらす吉祥」そのものである。

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