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菩提心の称賛《宝珠の灯》第56偈

56)転輪王は、不浄なところに現れぬ。
菩提心は、罪悪をもつ心に(起こるもの)ではない。
最高の菩提心を生じさせたいのであれば、
四力によって、自らの心相続を浄化することが大切である。
 
 
「転輪王」とは、
「統治の輪を転がす王の意。インドのジャイナ教徒、ヒンドゥ―教徒、仏教徒の間で考えられていた武器を用いず正義だけで世界を統治する全世界の理想的帝王である。」
(『ブリタニカ国際大百科事典』より)
 
大きな福徳をもって現れる王は、
福徳に貧しい不浄なところには出現しない。
 
同様に、他者を害する罪悪に慣れ親しんだ心にも、
他者の全てを利益しようと願う菩提心は生まれない。
 
「四力 (gnyen po stobs bzhi)」とは、四つの対治の力で、
他者を害する身口意の行いを懺悔し、再びその行為に携わらないようにする対処。

①拠所の力 (rten gyi stobs):
懺悔をする拠所にする仏、菩提心、衆生、尊像等。

②嫌い患う力 (rnam par sun ‘byin pa’i stobs):行った悪行を強く嫌悪する。

③罪悪から立ち直る力 (nyes pa las slar ldog pa’i stobs):
「このような悪行に二度と関わらない」と強く決意する。

④対治を実践する力 (gnyen po kun tu spyod pa’i stobs):
懺悔と悪行の浄化のために、実践修行として三宝に礼拝したり、真言を唱えるなどする。
 
この四つを真剣に実践すれば、
心に溜まった罪悪が浄化されるという。
 
浄化され、清流の流れる心に、
菩提心は生まれる。

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