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たぶんいつかしくじる人

「やなやつ」が好きです。
「嫌な奴」でもなく、「いけ好かない人」でもなく、「碌でもない人間」でもなく、「やなやつ」程度のひねくれ加減が好きです。
「いい人だけど面白くない人」より「やなやつだけど面白い人」の方が好きなのです。

こんなことが有りました。

僕「川魚が苦手なんです」
相手「えー美味しいのに」
僕「特に鮎が苦手で」
相手「あれ?結構、鮎が有名な所の出身じゃなかったっけ?」
僕「そうなんです。だから、子どもの頃から、食べる機会が多かった分、辛かったです」
相手「えー、でも、鮎って、スイカの匂いがするって言うよ?」

あれ?鮎がスイカの匂いすることって、僕にメリット有る感じでしたっけ?
もしくは、僕、言いましたかね?「スイカの匂いさえしてたらねー!鮎って最高に好きなんですけどねー!!」って。


咄嗟に僕はこう思いました。
思ったと言うより、喉から出掛かった言葉を飲み込みました。
「この距離感でこの言葉は、たぶん言ってはいけないやつ」
流石にそれは分かったからです。
この考え方は、恐らく「やなやつ」の考え方です。
的を射ている、とは思いませんが、相手の方は、僕が鮎を食べられないことに同情心を持って、上の言葉を掛けてくれた筈です。「あわよくば、鮎の食べられる、素敵な人生を送って欲しい」とすら思って、言ってくれたんじゃないかなと思います(この辺は、少し既に「やなやつ」のモノの言い方です)。
にも拘わらず、メリットがどうだこうだ、皮肉顔でたわ言を抜かす人間は、「やなやつ」です。

ここでの正解は、
「スイカの匂いがするって言うよ?」
「えー、そうなんですか!?今度食べる時、気にしてみますね!」
か、
「とかって言いますよね!でも、毎回よくわかんなくて……(苦笑)」
のどちらかでしょう。相手との関係性にもよるとは思いますが、これが円滑な人間関係を構築する会話かと思います。僕も、実際にはこんな感じの返答をしました。ものすごくつまらないと思いながらも。

実際に言葉にするかどうかはともかく、咄嗟に「やなやつ」の考え方をする人が、僕は好きです。「いい人だけど面白くない人」より「やなやつだけど面白い人」を選ぶのは、好みの問題です。

でも多分、「やなやつだけど面白い人」は、選ばれたことをストレートには受け取らず、「そういう考え方で大丈夫っすか」と言うと思います。

経験則と独断によるお話です。

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